これは以前から観たかった映画。
朝井リョウ原作で2012年公開。もう12年も前だ。
監督は吉田大八。「羊の木」や「騙し絵の牙」など面白い映画を撮る監督、というイメージ。
神木隆之介、前野朋哉、東出昌大、橋本愛、浅香航大、山本美月、仲野太賀ら、現在一線で活躍する俳優陣が名を連ねている。当然だがみんな若い。
清水くるみは「透明なゆりかご」の、中学生で出産する少女役が印象的だった。だが、その時でもすでに24歳。かなり幼く見える女優さん(この映画では18歳。あまり老けないタイプ・・・)
清水くるみ。この頃の方が6年後の「透明なゆりかご」より大人っぽいってどういうこと・・・?
松岡茉優も出演しているが、まだ無名のころ。橋本愛とともに「あまちゃん」でブレイクするのが翌年。劇中ではビッチなJK役だが彼女のすごいところはただ子憎たらしいビッチではなく、憎々しさの中にもなぜか可愛いと思わせる雰囲気を漂わせているところ。
演技力の高さはこの頃から片りんを見せつけていた。
松岡茉優。ほんとに可愛い。最近は同世代実力派トップを走っていると思う。
この映画の頃は子役でキャリアを積んできた大後寿々花がクレジットのいいところに出てくるが、その後の活躍で言うと松岡茉優や仲野太賀、東出昌大とは逆転してしまっている。
こういった部分も古い作品を見ると色々考えさせられる。
神木隆之介は何をやっても上手いが、この映画のようなスクールカーストの最下層の生徒というのも味わい深くてよい。そんな演技巧者の神木とラストシーンでがっぷり四つに組んだ東出昌大はやはり実力あると言わざるを得ない。
プライベートで躓いたが、ほとぼりが冷めたらまた帰ってきてほしい役者だ。
タイトルにもなっている「桐島」はまったく姿を現さず、周囲の友人たちの会話の中でしか出てこない。これだけたくさんの人たちに騒がれ影響を及ぼす「桐島」は、間違いなく学校の中でもスターでありスクールカーストの頂点だろう。
誰もが物語の主人公になりたいと願うのだが、主人公は二人もいらない。
多くの人がその他大勢のわき役にしかなれない。
だが、そんな世界でも生きていかなければいけない。
そして自分が信じる道を歩み、自分が面白いと思って打ち込める何かを夢中に追い求めることで、主人公にはなれなくても「自分」という物語の主人公にはなれる。
ラストシーンで8mmカメラ越しに映画部の前田(神木)に向かい宏樹(東出)がインタビューした際、目を輝かせて映画への愛を語る前田を見て、その直前に夢が実現しなくても最後まで自分の道を進もうとする野球部のキャプテンの言葉を重ね合わせ涙する宏樹。
桐島はなぜ部活をやめたのか。
物語の主人公になれる男にも、悩みはあった。
心に穴が空いてしまっているのは自分だけではない。宏樹がようやく桐島に連絡を取ろうとしたのは、彼がやっと自分と向き合うことができたからだろうか。
劇中、前田が観ていた映画をかすみ(橋本)も偶然見ていた、というシーンがあった。
映画のタイトルは「鉄男」。こんなカルトムービーを美少女が観ている、というのは萌えるシチュエーションだ(実際は、かすみは観たくて観たわけではなかったということが後でわかるが)。
タイトルにある通り部活に打ち込む高校生たちが主人公の映画だが、帰宅部の学生も描かれている。MATTも高校時代はバリバリ帰宅部だった。
先輩後輩の上下関係が大っ嫌いだったからだ。
でも映画部だったら入ってもよかったかな、、、と今では少し後悔している。
スクールカースト最下層間違いなしだけどw