写真のエピソードは、「小峰様」が誕生する「ヒーター壊れるのお話」。

 

映画版は去年の4月にアンブロックで観たが、ドラマ版を見たいと思っていたら、Netflixに上がってきたので早速観てみる。

 

すると映画版では尺が短くてよく描き切れていなかった主人公のOLたちの個性や関係性が細やかに書かれていて、映画版と比べその世界観を存分に堪能できてよかった。

 

バカリズム演じる「私」は、劇中では一切名前で呼ばれない。

その不自然さを感じさせない脚本も秀逸だが、なんといってもOLたちの他愛ない日常会話と日々の些細な出来事の観察眼が楽しい。

そして、そのストーリーを支えるOLたちのキャラの立ち方が、バカリズムワールドそのものとなっている。

 

今回あらためてドラマ版をじっくり見て、佐藤玲演じる紗英ちゃんの天然キャラぶりがなんともリアルで、こんな子職場に一人はいるよなあと。

小峰様(臼田あさ美)のずけずけとモノを言う豪快さ、酒木さん(山田真歩)のしっかり者のおねえさんなんだけど、どこか抜けてて憎めないところ、真紀ちゃん(夏帆)のほどよいゆるさとストイックさのバランスなどが心地よい。

またサブキャラのかおりん(三浦透子)は、彼女の演技力が絶品でこのどこにでもいそうなOLに、エッジの利いた個性を与えていて素晴らしい。

 

ドラマ版を見て、紗英ちゃんのそこはかとない天然キャラぶりに気づく。

 

驚きだったのはドラマ版だけ出演のサブキャラ・ゆみちゃん役の田原可南子は、あの田原俊彦の娘なのだ。へ~。

 

田原可南子。とってもキュートです。

 

このお話のコンセプトが、男性が女性(OL)になりすましてブログを書いた、という設定だそうで、映画版同様ラストはバカリズム本人とOLの「私」がドッペルゲンガーよろしく遭遇し、OLの私が消失するところで終わっている。

このオチもひねりが効いていてよい。

 

数々のエピソードはほんとうにどうでもいい内容ばかりだが、ついつい「あるある」と微笑んでしまうものばかり。

特にOLたちが執拗に愚痴る羽田(副支店長、実は本名ではなく紆余曲折あって、このあだ名に落ち着く)や、セカシ(上司で、これも色々あって世界の柏原が略されてセカシに)など、ウィットに富んだあだ名の上司が登場し、聞いてはいけない上司の悪口を盗み聴きする背徳感を味わえる。

 

このドラマはバカリズムが衣装以外は男そのままでOLたちに交じっているという設定がミソなのだが、彼の観察力、テンポよい会話術は女子トークにそのまま入って行っても通用しそうな気がする。。。。。

 

愛すべきOLたちのドラマはもう7年も前のものとなってしまった。

もう一度観たいが、このメンバーでやろうとするとさすがにみんなお局様になってしまっているだろうから、このドラマはこれっきりでよいのだろう。