本放送ではノーマークだったが、ネット記事でこの春面白かったドラマのひとつに挙げられていたので観てみることにした。
最近は地方ローカル局のドラマの方が断然面白い。
キー局は完全に負けている。このドラマも読売テレビの制作だ。
MATTの推し、中村アンが主役というのも視聴動機につながっている。
「SUITS/スーツ」の玉井伽耶子役で、かっこいい女性を演じたらこの人だ!と思わせる演技でファンになって以来好きだ。
本作品の刑事・桐生葵役もかっこよい。鍛えられた肉体で見事なスタイル、スーツの立ち姿の美しさは日本人離れしている。
「僕の手を売ります」でのチャーミングな女性役もよかったが、やはり彼女はかっこいい女性がとても似合う。
彼女のバディ・香坂に横山裕。二人は良いコンビに見えた。
16年前の連続殺人事件を捜査するために生まれ故郷に戻ってきた葵。
そこで幼馴染である不破翔(細田喜彦)、尾藤恵(佐津川愛美)、天草勇樹(森永悠希)、飛鳥桃(織田梨沙)と再会を果たすが、彼らすべてが殺人犯の容疑をかけられる混乱の中、物語はジェットコースターのように突き進んでいく。
序盤5話くらいまでは、とにかくものすごい情報が降り注ぎ、余白(たとえば主人公たちが食事したり、缶コーヒー飲んだりなど日常生活を描くようなシーン)が全くないので、一話を見終えると、まるで息継ぎしていなかったかのように息苦しさに気づく。
ちょっとでも気を抜くと、話に置いていかれるような感覚だ。
だが、中盤から物語が動き出し8話以降は絡まりあった糸が少しずつほどけていく。最終回はこれまでの伏線が徐々に回収されていき、ミステリーサスペンスのだいご味が味わえる。
中村・横山には真犯人を明かされないまま撮影されたそうで、そうなるとドラマ自体もいわゆる順撮り(シナリオの冒頭から順を追って撮影されていく)で撮られたのだろうか。
いったん真犯人として捕まる井出尚哉(森優作)は実は犯人ではない、と葵と香坂は見抜く。
そして、真犯人は葵の親友の飛鳥桃と判明する。
彼女はおよそ人間らしい感情を持たない、異常心理のシリアルキラーだったのだ。
日本では欧米ほどシリアルキラーの出現率が高くない。
かといって、過去にまったくいなかったわけではない。
宮崎勤や、酒鬼薔薇聖斗らは、カテゴライズ上はシリアルキラーだろう。
このドラマでは、静かで平和な地方都市に潜む、凶悪なシリアルキラーという世界観が際立っていて、その筋のドラマが好きなファンには楽しめる一品だった。
飛鳥桃は葵の手によって逮捕され、殺人犯の濡れ衣を着せられたまま獄中で死んでいった葵の父親(長谷川朝晴)の無念が晴らされ、感動のラストシーンを迎える。
タイトルの「約束」には、飛鳥桃が親友である葵と結んだと一方的に思い込んでいた「約束」と、亡き父との約束(無実の罪を晴らす)の二つの意味が隠されていた。
複雑なプロットを(途中わかりづらい部分はややあったものの)、破綻することなく描き切ってエンタメとして成立させたスタッフ、俳優諸氏に感謝である。
脇を固める俳優たちは、岡部たかし、杉本哲太、井上肇、山田キヌヲ、向里佑香(すぐ殺されてしまい残念)、坪倉由幸ら。
飛鳥桃を演じた織田梨沙は難しいシリアルキラーの役を、なかなか迫真の演技で魅せてくれた。
また葵の高校生時代を今、売り出し中の早瀬憩が好演。
さまざまなドラマの女優さんの少女時代を演じていて、最近では新垣結衣と「違国日記」で共演するなど今後期待の女優さんだ。
早瀬憩。
透明感あふれる美少女ぶりは、大物の予感。今後に期待の女優さん。
これは本放送で毎週見るより一気見したほうが楽しめる。
なにより、展開が二転三転するストーリーに1週間も待てないだろう。