観たかったんだよなあ。

 

監督・今泉力哉、主演・高畑充希・岡田将生 で、面白くないはずがない。

渡辺ペコの原作は2016~2020年に月刊モーニングtwoに連載された。

 

高畑充希も岡田将生も、民放地上波の「チャレンジしない」ドラマ向きではない。

じっくりと演技を楽しめる映画や配信系ドラマにもっと出てもらいたい。

特に久しぶりに高畑充希の演技にどっぷりハマれた気がする。

彼女のセリフ、表情、目や体の動かし方や間の取り方。

どれも演じる一子のその時の心の動きを余すところなく表現していた。

それを受け止める二也(おとや)の演技もさすがで、二人の関係性が細かな設定の説明がなくともよく理解できた。

 

お互いを思いやり幸せに暮らしているように見える一子と二也。

だが実はセックスレスに悩んでいて、お互いに何とかその状況を打開したいと考えている。

そこで二人の間で決めた約束が、二也の公認不倫。

また、一子も興味本位から女性向け風俗に足を踏み入れてしまう。

こんなとんでもない状況から物語は始まる。

(たぶん、地上波ではできない設定)

 

ちなみに不倫相手は美月に西野七瀬。お互いが通う、生け花教室で出会った。

西野七瀬の夫・志朗に高良健吾。こちらも高畑充希ちゃんに並んでお久しぶりだ。

(二人の競演は「いつ恋」以来だろうか?)

 

「公認不倫」というトンでもな設定を知った時、MATTの頭の中では「エマニュエル夫人」がフラッシュバックした。中学生のMATTはあの映画で性に目覚めた、、、、わけではないが、そこで描かれていたフリーセックスの世界は中学生には衝撃的だった。

閑話休題。物語が進むにつれて(もちろん)フリーセックスの話ではないことに気づく。。。

 

一子と二也の二人はお互いを思いやるあまり、「夫婦」という制度そのものに囚われすぎてしまっていた。

一子は結婚して夫婦になるのは好きな人と一緒に生活するためであり、一緒にいたいから夫婦になる、という発想ではなかった。二也も結婚したからには相手を一生懸命思いやることこそが大切なことだ、と思っていた節がある。

二人とも夫婦というものの本質は置き去りにして、その外側の形だけを眺めどういう形がよいかだけを考え暮らしてきたのだろう。

 

6話までで夫婦の間に様々なぶつかり合いがあったものの、二人で話し合い納得し不妊治療をすることになる。

絆が深まり夫婦関係の再構築に成功したかに見えた二人だったが、6話の終盤、一子のモノローグが衝撃的だった。

「この半年後に、二人は離婚した」

 

最終話は、離婚した二人が一子の母親(風吹ジュン)の突然の死でまたつながることで、物語が動いていく。

二人で暮らしたマンションを売ることに決めて、内見会をやっている最中に、一子は「マンションを売りたくない」と言い出す。

 

この時一子が発した言葉、「ハードはあったが、ソフトがなかった」という言葉が、ここまでの二人の夫婦生活を見事に表現していた。

「夫婦」という形しか見ていなかった二人。その夫婦になった自分たちの間にあった目に見えないものを見ようとしていなかった。

一子と二也がそれぞれ相手を思いやる優しさ、二人一緒にいることの幸せ。

それこそが夫婦の形であり、見ようとして見えるものではなかった。

やっと気づいた一子と二也。

 

ラストシーンで仕事に復帰した一子と、生け花教室にまた通いだした二也の姿。

教室で先生が「今日のお花はクチナシです。花言葉は。。。。」でサイレントになる。

クチナシの花を携えて家に帰った二也は、一子にクチナシの花をプレゼントする。

クチナシの花言葉は、「とても幸せです」だ。

素敵なラストで、ちょっとほろっと来た。

 

その他の出演者には、土村芳(1話と最終話しか出てこない、、、、涙)、宇垣美里、中田クルミ、菊池亜希子、市川実和子、諏訪太朗、宮崎美子、森尾由美など。

また、成田凌や片桐はいり、前原滉や内田理央なども効果的にキャスティングされている。

 

高畑充希主演ドラマでは、「いりびと・異邦人」に並んで好きなドラマになった。

 

最後に、美月役の西野七瀬が無邪気で、女心をまったく理解しない言葉を言い放った二也に対し、怒りのあまり新品の剣山を股間に刺す、という衝撃シーンがある。

股間が血だらけになってもだえ苦しむ二也。

剣山を突き刺す瞬間、眉根一つ動かさず行為に出る西野七瀬、「あな番」の黒島沙和を彷彿とさせ、コワかった。西野七瀬の面目躍如だ 笑

 

このあと、躊躇なくぶっ刺します ww