「ケイゾク」、「SPEC」と続く堤幸彦の独特の世界観が、このSICK’Sでようやく幕を閉じる。

2018年~2019年にかけて3つの章で放映され、全15話。

堤ワールドを長年かけて視聴してきたファンにとっては集大成ののようなドラマだろう。

MATTも「トリック」含め、堤ワールドにどっぷりつかってしまった一人なのだ。

 

中谷美紀、戸田恵梨香、そしてトリックの仲間由紀恵も含めると、堤ワールドのヒロインはみんな「変人」ばかりである。

その変人を美形の女優さんたちが演じるというのが、また良い。

 

今回のヒロイン、御厨清流もこれまでと同様に変人で無論、美形の木村文乃が演じる。

だがその御厨はずっと眼帯に前髪が長髪で顔の半分が隠れて見えない。

木村文乃ちゃんの美貌が50%しか見られない、というファンとしては残念な設定もあるが、お話はこれまでの作品へのオマージュがたっぷり詰まっており、飽きない。

 

木村文乃。

SPEC発動時、眼帯を外して赤い眼を披露する姿を見ると、どうしても「トリック」1stシーズン8話の「千里眼を持つ男・・・」を思い出してしまう。。。。

 

「ケイゾク」の頃からのオリジナルキャラ・竜雷太演じる野々村係長(今回は弟の光次郎)、とぼけた役も一流の松田翔太がメインキャラとして、ギャグとシリアスのミックスされた難しいドラマの世界観を自由に演じている。

 

松田翔太演じる高座(タカクラ)が御厨に「お前が死んでしまうのが嫌だ」と、すんごく遠回しな愛の告白をするシーンがある。

これまでの「ケイゾク」の柴田と真山、「トリック」の山田と上田、「SPEC」の当麻と瀬文らとの関係とも少し違う、二人の間に流れる愛とも恋ともつかぬ微妙な関係も見どころのひとつ。

 

御厨に乗り移った「朝倉」の亡霊、様々な形態のSPECを持つ異形の人たち、冗談のように見えるおどろおどろしい闇の世界、、、、、

ところどころ織り交ぜられる「堤節」ともいうべきギャグに気が緩んでいると、突然冷や水を頭からぶっかけられたように、血まみれのシーンが繰り広げられる。

その緊張感が「堤ワールド」のだいご味なのだ。

 

「SPEC」で神木隆之介が演じた最強のSPECホルダー、一十一(にのまえじゅういち)の姉の一一十(にのまえいと)に、黒島結菜。

どこか冷たい感じのする美貌をたたえる美少女、とはまさに彼女のことだろう。

彼女以外に考えられないキャスティングで、素晴らしいと思う。

整った顔立ちの美少女が平気で殺戮を繰り返す、これほどエロティックなことはない。

 

このドラマでの一一十(ニノマエイト)は、黒島結菜以外には考えられない。

それほどのはまり役だ。

 

歴代のキャラ、柴田純や当麻紗綾らは後ろ姿だったり顔出しせず、などだがファンとしても楽しめる登場っぷり。

 

共演者には、いい役もくず役も上手い眞島秀和、「堤組俳優」の徳井優、池田鉄洋。

ほかに六角慎司、温水洋一、宅麻伸、新川優愛、高杉亘、酒向芳、浜田学、佐野史郎、宇垣美里、哀川翔(ちょい役)など、そうそうたる顔ぶれ。

 

SPECホルダーの中でも山口沙也加と若村麻由美の二人は怪演が光った。

この二人の存在感はすごい。

また当時駆け出しの松本穂香もちょっとだが出演。

 

ストーリー上重要な役を演じる浪岡一喜もなかなか。

彼と忍成修吾は、いや~な役をやらせたら随一の二人だと思う。

顔がすでに嫌な感じなのね(失礼・・・)。

仲野太賀と矢本悠馬がいい人やらせたら最高、の逆バージョンだ。

 

ラストシーンは続編を期待させる終わり方だったが、その後コロナもあったからかどうもそんな話もなくなってしまったよう。

でもあの終わり方ではちょっとモヤモヤ感半端ないので、次回作を期待したい。