主演が河合優実でなければ、このドラマはまた違った作品となっていただろう。
若いのにすでに様々な作品、特に映画で活躍。最近はドラマでブレイク中。
MATTは「ワンナイト・モーニング」の演技がとても印象的だったのを覚えている。
彼女を一言で語るのは難しい。
クールかと思えば情感あふれる演技もぐっとくる。
この「RoOT」では彼女のクールでかっこいい側面が存分に味わえる。
でもまだ23歳なんだよなあ。すごい。
探偵という職業をドラマ・映画で描くと、ことのほかクールでハードボイルド、しかし情に厚い世界を期待してしまうが、その世界観を見事に体現してくれている。
河合優実演じる鈴木玲奈は、若いが過去に何やら抱えた陰を持つ調査員。
いつもアンニュイな表情が、夜の街に映える。
玲奈の相棒は坂東龍太演じる佐藤。
ちょっとネジが2,3本外れた男だが根はいいやつ。どんくさいけど憎めない。
この二人がバディとして、ある事件を追いかけて東京の夜の闇を駆けまわる。
オープニングエンディングもともに軽快でポップな曲で、ドラマの世界観を盛り上げる。
彼女らが追いかける事件は、登場人物の関係が複雑に絡み合い、また展開も説明なく進んだりするので途中何度も迷ったりするのだが、じっくり見ていくと様々な伏線も張り巡らされていて、なかなか楽しめる。
登場人物もみんなうさん臭くてよい。
玲奈らが所属する探偵事務所の所長に黒田大輔、裏組織のボスに渡辺いっけい、その部下に奥野瑛太、玲奈が追いかける事件の被害者で高校時代の同級生父親に松尾貴史。
古屋呂敏もちょい役で登場。菊池日菜子、寺本莉緒らも重要な役でキャスティング。
いい役者をそろえている。
松田優作の「探偵物語」のように、都会の片隅で生きる人たちの様々な人間模様、常軌を逸した人たちの滅茶苦茶だが愛すべきキャラ、そんな人間臭いドラマをたまに見たくなる。
この作品は令和の時代に、それを実現してくれたといえる。
良い原作、脚本、役者、音楽がそろった佳作だ。さすがテレ東。目の付け所が違うね。
また書くけど、NHKが今年初旬に放映したあるドラマが無ければこのドラマは上半期ベスト1だと思った。
このドラマ、原作もあるのでぜひシーズン2か映画を見てみたくなった。
河合優実、彼女が出ているから作品を見たくなる、という本物の役者である。
河合優実。
こういう色の女優さん、という説明ができないくらいぐんぐん成長している女優さん。
今後どんな色になっていくのか、楽しみだ。