面白いとの評判だったので何気なく観たのだけど、期待通り面白かった。

野木亜希子が脚本を書いており、100分ちょっとの物語だけど起承転結が明確で、笑いの中にもペーソスがありさすがの構成と感心した。

 

綾野剛はシリアスな役のドラマしか見たことなかったので、コメディをやっている彼を見るのは新鮮。佐久間由衣と結婚したことだし、コメディが得意な彼女と笑える作品にもぜひ出てもらいたいものだ。

 

共演の齋藤潤はどっかで観たなあと思っていたら、今放映中の「9ボーダー」で一家をまとめるキーになる少年役で出ていた。「正欲」「からかい上手の高木さん」などにも出演しており、16歳とこれから期待の役者さんだ。

 

芳根京子が出ているというのも見るきっかけだったが、アカン、、、、ほとんどストーリーには絡んでこないので欲求不満。。。最近、あまり出番がないので心配だ。

 

いつも可愛い芳根京子。

ビールのCM(マルF)での「おつかれ生です」は癒されます。。。。

いや、そうじゃなくて主演ドラマ・映画が見たい!!

 

映画の導入部は、有無を言わさずヤクザの凶児(綾野剛)が岡聡美(齋藤潤)をカラオケに誘うという、強引ながらも余計な装飾は一切配した思い切りのよい出会いから始まるのがよい。

その後は小気味よく話が進んでいき、住む世界の違う二人が一つの目標に向かって歌の練習に励んでいく様がほほえましい。

 

客観的にみると反社の人間が中学生に近づくなんて、ほぼ警察沙汰だ。

学校の前に黒塗りのセンチュリーで横づけして話すシーンなどは、すぐに先生が飛び出してきそうだが、そこはコメディ。安心して(?)みることができる。

 

中学生ってのは自分の感情をコントロールできない。

そんなメンドクサイ生き物に広い心で接することができる凶児に尊敬の念を覚えつつ、でもきっと真っすぐで単純だからこそ、中学生と向き合えるのだなとも思い、この一見相容れなさそうな組み合わせの妙に感心する。

 

共演者は坂井真紀、橋本じゅん、宮崎吐夢、ヒコロヒーなどで、凶児の組の組長に北村一輝。友情出演で加藤雅也も出ている。

 

でもこのドラマ、観終わってみるとヤクザがカラオケ大会のために必死になるという、異常な世界を描いたコメディであるのだけど、実は思春期の中学生が心のアンバランスをコントロールできずに苦しむ青春ドラマの要素が大きかったりする。

その辺は野木亜希子の作家力のなせる技なのか。

 

劇中、「紅」を熱唱する綾野剛を観るだけでも十分楽しめる一品です。