まだアメリカにいた3月頃に見ていたのだが、Unblockでは全10話のうち8話でUpが止まってしまい、早2カ月。もうコンプリートできないのか、と諦めていたらたまたま深夜の再放送を発見。先週、今週と9,10話が録画できてやっと見終えることができた。

 

正直2カ月も経ってしまったので、かろうじて話は覚えているもののテンションが続かなかったのが残念。

 

でもこのドラマ、大好きなドラマの一つとなった。

役作りや作品に対するこだわりが非常に強いオダギリジョー主演作。

自らプロデューサーも買って出ている。

その作り手の強い想いがひしひしと伝わってくる、とてもよい作品だ。

 

大桑北郎(オダギリジョー)は、お人よしで、人に騙されたりいいように使われて、いつも損ばかりしている。その妻は大桑とは正反対のちゃきちゃきした性格の雅美(尾野真千子)。娘はどこか飄々として父親似、頭の回転の速い丸子(當真あみ)。

當真あみの、このドラマでの存在感は見ものだ。

弱冠17歳の女の子とは思えない演技に素直にかっこいいと思えた。

 

このドラマでの當真あみは尾野真千子と並んで欠かせないキャストだ。

 

オダギリジョーのいつものつかみどころのない演技に、この二人の女優はしっかり応えていて本物の家族のよう。尾野真千子と當真あみは、このドラマの後、NHKの「ケの日のケケケ」でも母子役で共演している。

 

物語は手先の器用な何でも屋の大桑が、ちょっと変な人たちと関わりながらあちこちに出向いていくロードムービー。

全体を流れる雰囲気や、七尾旅人の楽曲、そしてエンディングのムードなどなんとなく70年代のドラマのようで、どこかクラシカルで懐かしさを感じる。

オダギリジョーらしい肩の力の抜けた演技も効果的だ。

 

また大桑と絡む人々には多彩で個性派が名を連ねる。

 

水沢林太郎、松田美由紀、斉木しげる、眞島秀和、紺野まひる、石井正則、柳英里紗、円井わん、田中要次、中村アンなど。

 

中村アンは好きな女優さんだ。美人でありながらかっこよい。

「SUITS/スーツ」での秘書・玉井伽耶子役は、はまり役だった。

このドラマでも、妻想いの大桑がちょっと浮気心を抱いてしまうようないい女を演じている。

 

中村アン。美人でかっこよくてかわいい女性って・・・完璧すぎます。

 

幸枝(松田美由紀)や佐伯姉妹(柳英里紗、円井わん)、佐伯(田中要次)らに利用されて、人生を振り回される大桑だが、はたから見るとこんな不幸な男なのにどこか幸せに見えてしまう。

それは騙され利用され、そのせいで貧乏でも、当の大桑が愚痴をこぼしつつ時には怒りを口にしながら自分に正直に生きているからだろう。

そして、そんな大桑を優しく見守る妻と娘。

なんて素晴らしい家族だろうか。

 

社会からちょっとはみ出てしまい、出会う人間は変な輩ばかり。

滅茶苦茶な人たちの荒唐無稽な話なのだけど、どこか滑稽で愛すべき人々の物語。

松田優作の「探偵物語」を思い出さずにはいられなかった。そういえば、松田優作の奥さんの松田美由紀まだ出るし、、


オダギリジョーの頭のどこかに、あの名作のイメージがあったかどうかは知る由もないが、MATTには同じ匂いが感じられた。

 

10話の中では斉木しげる演じる大桑松夫にそっくりの弟(斉木しげるの一人二役)と、丸子のやり取りが面白い。父親の大桑は騙されたのに、鋭い観察力で松夫の弟だと見抜く聡明な娘を好演。

あと、田中要次とオダギリジョーのやり取りもくすっと笑える。

 

これ、シリーズにしてもらいたい秀逸なドラマだった。

ただ、好き嫌いは別れると思う。この独特な雰囲気にどっぷり浸かれないと、この世界観は楽しめない。

 

七尾旅人の歌うエンディング「Drive into The Night」は穏やかないい楽曲なのだが、配信されていないようで残念。。。

 

仕事車、の雰囲気いっぱいのマツダ・ボンゴが道具感ありでカッコよい。