山中遥子が2019年に撮った短編ドラマ。
彼女は最近では「今夜すきやきだよ」の監督も務めていた。
たった20数分のドラマなのだが、なにせ主演は三浦透子と古川琴音なので、見ごたえ十分。
短編なので物語は何の前説もなく、いきなり始まる。
ナツキ(三浦透子)は彼氏であるヒロキ(中尾暢樹)と同棲している。
ヒロキはいつも会うたびにナツキの体を求めてくる。
ヒロキのことは好きだが、ヒロキとのセックスには惹かれないことに違和感を覚えるナツキ。
そんなナツキには高校からの友人のカナコ(古川琴音)がおり、ある日カナコからナツキのことが好きだと告げられる。
ナツキは自分の中にあった違和感の答えが何なのかが少し見えたように感じる。
そして、カナコを家に誘い3人で一緒に住むという提案をする。
ここまでの二人のやり取りが、とても自然でよい。
役者というのはある設定を与えられて、その登場人物になり切り、あたかもこれまでその人物を生きてきたかのように演じる。
三浦透子と古川琴音のナツキとカナコは、完璧に高校時代からの友人に見える。
この二人の役者としての底知れぬ実力を堪能できる。
そして、二人の間に流れる不思議な緊張感は、ラストシーンの湖でのシーンにつながっていき、たった20数分のドラマとは思えない重厚感ある展開となっていく。
予想しえた最悪の結末は実はナツキの見た夢だったのだが、ナツキとカナコの不安定な関係を表現した悪夢に視聴者は見事に騙されてしまう。
む~、素晴らしいドラマだった。
三浦透子、古川琴音、二人とも大好きな女優さんなだけにMATTにとっては贅沢な作品だった。役者の演技を存分に堪能するのにお勧めの一品だ。
二人とも演技派が多数いるユマニテ所属。
何度も見て、二人の演技の妙を味わいたい。
ラストの湖のシーンは幻想的でヨーロッパ映画のような佇まい。
二人ともフランス映画の女優のような雰囲気で、とても良い。