NETFLIXドラマ。原作は2003年発行と古い。

シガテラ とはある種の魚類の持つ毒素、そしてそれに起因する食中毒のことだそう。

主人公の気弱な男子高校生の平凡ながら幸せな日常と、その対極にある不幸、非日常が交錯するストーリー。

その不幸な「非日常」をシガテラに例えている。

 

主人公の荻野優介を演じるのは醍醐虎汰郎。あの「天気の子」の主人公の声をあてた俳優さん。物語の前半では彼が、「アオイホノオ」の炎モユル顔負けの顔芸とシャウト、一人語りを披露する。もちろん、柳楽優弥ほどのインパクトは無いにしても悪くない。漫画なら自然なシーンもドラマだと浮いてしまいがちだが、彼の演技は勢いがあり迷いがない。ゆえに素直に楽しめた。

 

もともとは、最近あまりドラマでお見掛けしなかった推しの関水渚が見たくて選んだ。

彼女は荻野の彼女となる南雲ゆみを演じている。

ここでの関水渚がとてもキュートだ。高校生の時にこんな女の子がいたら、おそらく勉強そっちのけで人生を踏み外してしまうだろう。

それだけ関水演じるゆみはとても可愛く、魅力的な女の子である。

 

5話くらいまでは荻野がゆみと付き合うまでのドタバタラブコメディ。

少しずつ、不幸の影が近づいているもののまだその予兆の段階。

荻野は心根が優しい分、自分に自信がなくなんでも自分のせいにしてしまう。

自身が目の前の現実から逃げることで、周囲を不幸に陥れてしまうことに気づいていない。

 

そんな弱い荻野を勇気づけ、あふれんばかりの愛で包み込み背中を押そうとするゆみは強く、美しい。自分の気持ちに正直に生きようとするゆみを、関水渚がとても魅力的に演じている。こういう演技ができるのだから、もっと活躍の場を与えてあげて欲しい。

 

劇中、フルヌードも披露する関水渚。体当たりの演技ができる若手女優でイチオシ。

 

その他キャラでは物語のキーとなる谷脇を長谷川慎が演じている。何を考えているかわからない悪童を上手く演じていると思う。

 

あの名プロデューサー・祖父江里奈が担当のテレ東ドラマ。ほとんど有名な役者が出ていなくてもこれだけ強烈なインパクトを残すドラマを作れる。アイデアとメッセージ性、熱意の賜物だ。

 

その他気になる役者では、同じテレ東の「SHUT UP」にも出ていた井上想良や、バイプレイヤーの三島ゆたか、丈太郎、ゆみの友人役の田島を演じた三浦理奈あたりか。

三浦理奈は演技はまあまあ、だが若いのに妙に色気あって面白い女優さん。

 

三浦理奈。

原作より可愛い。。。まだ20歳とこれからの女優さん。

綺麗な顔立ちしています。

 

2022年に京阪電車のマスコット・8代目「おけいはん」に選出されたそう。

命名は「枚方けい子」

「舞妓さんちのまかないさん」にも出ていた。

このドラマではギャル役だったので化粧が濃かったのね。これからに期待。

 

5話以降は、荻野とゆみの恋の行方(日常)と、復活した谷脇が巻き込まれるヤクザの抗争(非日常)が交錯して目が離せない展開となっていく。

またもとんでもない不幸に巻き込まれ、このままではゆみを幸せにできない、と一度はくじける荻野。そんな荻野を勇気づけるゆみ。

 

二人の愛は永遠かと思われたが、結局は二人はその後別れて別々の人生を歩み始める。

ラストで荻野は新しい彼女と結婚を前提に付き合い始める。

自分に自信を持って生きることができる、立派な社会人となった荻野。

みじめで何も自分で決められなかったあの頃の荻野優介はいない。

 

だが、ふと立ち止まり考える。

そんな自分だったが、必死に生きていたあの頃が懐かしくそして面白かった。

なんてつまらない人間になってしまったのかと。

 

でもそれでいい。

それこそが人間の成長なのだ。

そうやって過去の自分を客観的に眺めることが出来るからこそ、今の自分を誇れるのだ。

基本的にエロいことしか頭になく、直情径行な行動しかとれない高校生の物語りなのだが、そこには人生の深い命題が潜んでいた。

なかなか面白い作品だった。隠れた佳作になりそう。

 

最後に、全12話の中で唯一、ゆみが主人公の第7話はかなり面白いのでお勧めだ。

 

ゆみがバイトに入る街の弁当屋さんが舞台。

関水渚のコメディエンヌとしての素質が垣間見える。