NETFLIXの日本ドラマすべてが面白いわけではないが、その確率は非常に高い。

本作も期待通り、いやそれ以上の出来だった。

 

主演の賀来賢人が原案を出して作ったという。

彼の忍者、いや忍びに対するこだわりが随所に見られ、日本人にとっても外国人にとっても「忍び」の世界観を現代の日本に見事にマッチさせた物語として成立させた。

 

本作はキャスティングが素晴らしい。

特に女性陣。服部半蔵の子孫として生きる忍びの一族・俵家。

その家の実質の長ともいえるタキに宮本信子。最初はこのキャラクターはなかったそうだが、故・伊丹十三監督の映画を見て感銘を受けたデイブ・ボイルと賀来賢人がぜひ、とオファー。

そのせいか、見事にキャラにはまっている。

木村多江、蒔田彩珠の二人のくノ一も絶妙。この古風な顔立ちでおおよそアクションから程遠い印象の彼女たちが忍び、という設定がそそられる。

 

多江さん。和服姿も見たかった。

 

蒔田彩珠は、このドラマでまた彼女の無限の可能性を拡げたと言える。

 

賀来賢人や高良健吾は細マッチョで忍びのイメージにぴったりだし、江口洋介もイケオジでシュッとしているので完璧。こうして俵家の忍び一族は、どこから見ても非の打ちどころの無い「忍者一家」として躍動している。

 

晴(賀来賢人)と許されぬ恋に落ちる雑誌記者(なんと、ムー!)の伊藤可憐に吉岡里帆。最近時の吉岡里帆の活躍は目覚ましい。地上波でなく配信系や映画でこそ彼女らしい役に巡り合えている。可憐も勇気にあふれる一途な女性で、まさに吉岡の得意とする女性像。見た目の可愛さからは想像できない強さを演じると、彼女は上手い。

物語序盤、マスカレードのシーンでの仮面姿の吉岡里帆。きつね?どん兵衛?笑

彼女の特徴的な上向きの唇がとてもセクシーで、ぞくっとする。

 

山田孝之の風魔小太郎もさすがだが、彼と行動を共にする桜井あやめ役の沖万美は独特の雰囲気で際立っていた。

 

沖万美。彼女、いい。もっと観たい女優さん。

 

現代日本の裏社会でひっそりと暮らす忍びの一族の物語だが、厳しい忍びの掟や謎めいた忍術で人知れず暗躍、といった従来の忍者物のフォーマットは踏襲しつつも、メインとなる軸は「家族愛」というところが、おそらく忍者という存在に一方ならぬ興味を持つ外国人にとっても物語に入り込みやすいところではないだろうか。

 

各俳優陣のアクションシーンも見どころだが、晴と可憐の恋の行方は切なく悲しい。

忍びの掟を破った晴は、彼女の命を守るため悲しい別れを選択する。そしてその決断を受け入れる可憐。ここでも秘めた強さを表現する吉岡里帆の演技に注目。彼女でよかった、と思う。

 

劇中の音楽もむやみに日本らしさを強調するわけでもなく、アクションシーンで柔らかな曲調のBGMを巧みに使うなど、面白い。音楽と映像のコンビネーションもこの作品の見どころだ。

 

出演者は演技巧者ぞろいで、安定感がある。

文化庁忍者管理局の局員に、田口トモロヲ、柄本時生、嶋田久作ら個性派俳優。

刑事役にピエール瀧、謎めいた女役に河合青葉(偶然と想像、よかったです)。白石佳代子、モロ師岡、今野浩喜、筒井真理子など。

 

ちなみに蒔田彩珠の幼少期を演じた、稲垣来泉は「時をかけるな、恋人たち」では主演の吉岡里帆演じる廻の幼少期を演じていた。何かの縁だろうか。

「そしてバトンは渡された」のみぃたん役も彼女だった。

弾けるような笑顔が印象的。出演ドラマも多く、事務所も大手・研音なので将来が楽しみな女優さんである。

 

全8話で終わるかと思ったら、含みを持たせたラストシーン。まだまだ物語は動くぞという終わり方でシーズン2が今から期待される。まだ続編の情報がない「ガンニバル」とともに楽しみな作品となった。

そういえば、「ガンニバル」も吉岡里帆が出てたっけ。。。

こういう表情とかほんとに良い。所属事務所「A-Team」が解散となったため、今後彼女がどこの事務所に行くかが注目。