放送開始時は、「言葉遣いが時代劇にふさわしくない」などと、散々叩かれていたこの作品。

しかし、、、、

幼少期より時代劇に親しんできた身としては、現代の時代劇はどれもいわゆる「本格派」とはかけ離れたものばかり。

今更何を、、、という感はある。

 

小芝風花が歴史あるテーマ「大奥」が舞台の時代劇でどのような演技をするのか、が最大の興味だったのだが、まずまず満足いくものだった。

公家出身の倫子を演じた彼女、気高くも情に厚く心の大きな姫君を、堂々と演じており、泣きの演技は彼女の十八番、また時折見せる凛々しい表情も堂に入っている。

女、妻、母をこの年で演じ切るのは、なかなかできるものではない。

これまで、様々なドラマ・映画でそれこそ多様な役を演じ、積み重ねてきた彼女だからこそ。

女優としての成長を見た気がする。

 

西野七瀬のお品も大変よかった。

穏やかながら、倫子を慕い守ろうとする芯の強さ。

物語において彼女の存在は大きかったと思う。

 

そしてもう一人の中心人物である、お知保役の森川葵。

「いつ恋」以来、あまり目立った活躍の無かった彼女。

久しぶりのドラマでの重要な役で、存在感を発揮していた。

 

この3人の姫君のドラマを中心に、大奥と幕府の中枢の人物たちの権力闘争が描かれていく。ただ、これまでの大奥ものと違い異色なのは、今回の将軍・家治(亀梨和也)と、御台(倫子)との深い純愛がテーマとなっているところだろう。

ゆえに、新鮮な視点で楽しむことが出来たと思う。

またセット、カメラ、衣装ともに荘厳で時代劇ならではの、視覚的な楽しみも十分だった。

フジの大奥ものとして、初めて全編京都ロケだったとかで、その成果は出ていたようだ。

 

田沼意次を演じた安田顕、時代劇での活躍を期待したいほどの出来で、次も見てみたいと思わせた。

 

様々な役者、名優も参加しているが大奥を仕切る2大勢力の2トップ、松嶋の局(栗山千明)と、高岳(田中道子)の二人の熾烈なつばぜり合いも見もの。

栗山千明はいつまでも「キルビル」の女子高生のイメージが強すぎて、こんな迫力ある女性を演じることができる歳になったとは、、、と感慨深い。

一方の田中道子は眉を剃っての登場で、迫力では負けていない。

共に良いキャスティングといえる。

 

定期的に時代劇を見てみたくなる。今回は十分楽しめる一品だった。

好きな役者が出演したら、また時代劇を見てみたい。

 

亀梨和也もカツラが良く似合っており、良かったです。