「不適切にもほどがある」が大ヒット中の宮藤官九郎脚本。
もともとは台湾の映画が原作。
クドカン組の岡田将生と、久々の映画出演、清原果耶によるW主演。
物語が始まり、岡田将生演じる皇一(すめらぎはじめ)が出てくるが、清原果耶が全然出てこない。20分くらいのところでやっと姿を見せて40分手前あたりでようやく顔見せ、セリフが聞ける。なんでこんな構成に、、、、と思っていたが、その後1時間を境にこれまで皇視点だった物語が、清原果耶演じる長宗我部麗華視点に切り替わり、二人の物語りが交錯しつつ終盤へとつながっていく。
舞台は京都。なぜクドカンは京都を選んだのか。
それは終盤で皇一の父である平兵衛(加藤雅也)が、麗華とバス運転手の釈迦牟尼仏憲(荒川良々)に語るシーンでその理由がわかる。
長くややこしい名前が多い京都ならでは、の地域的背景があったのだろう。
高校時代の同級生に同じく「皇」という名前の友達がいた。
叔父さんがテレ朝のプロデューサーとかでTV番組のクレジットを見てたら、確かにいたのでへーと感心した記憶がある。珍しい名前には違いない。
福知山に3年間住んでいたMATTにとって舞台が京都、というのが懐かしく楽しめた。
皇が冒頭で語る「ほんまもんの京都は洛中だけ、そのほかは京都やない!」というセリフ。実は彼自身は宇治出身というオチがあったり、天橋立、宮津など懐かしい場所も出てくる。
ラスト付近でおばあちゃんが郵便局に持ってくる荷物が「へしこ」というのもいい。
岡田将生はエリート役はもとより、「ゆとりですがなにか」や「リーガルハイ」のようなクズ男が最高にはまる。あの整った顔と爽やかな笑顔があるからこそ、で彼ならではと思う。
清原果耶は22歳になって、大人の顔になってきた。
この映画ではやや痩せたかなと思わせる風貌。16歳の頃から映画、ドラマで見ているから、そりゃあ雰囲気も変わるよね。
セリフが少なくても、悲運の人生を送ってきた麗華という少女を演じる彼女は、体全体で麗華になり切り、彼女の人生を背負って演じていた。
捉えどころのない難しい役だったと思うのだが、彼女をキャスティングしたのは正解だ。淡々と演じながらも一人の男を想い続ける切なさがよく表れていて、キュンとしてしまった。
地味子が似合っている清原果耶。
キレのある役より、ボーっとした役の方が彼女の良さが出るかも。
清原果耶の関西弁を初めて聞けて嬉しい。「さいなら」というセリフが自然でよかった。
荒川良々、加藤雅也、羽野晶紀、らも関西出身でやはりネイティブの発音というのは大切だ。
片山友希も京都出身、皇一の妹役で出演も、ヤマンバギャルみたいなメイクでほぼ誰かわからず、、、、ww ちょっと、彼女もう少しいい役で出してよね。
このメイクで片山友希ってわかるか!ww
物語は最初の一時間が皇視点、その後は麗華視点で、麗華視点のシーンでは、ああ、ここではそういう意味があったのね、とかこのシーンはこういうことだったんだ、というのがわかり、もう一度プレイバックして見たくなる。
絶妙なカットや演出で、作品を2度楽しめるのはよい。
いつも人生の1秒先を行く彼と、1秒遅れる彼女。
そのままだとずっと相いれない二人なのだが、平兵衛が言う神様はつじつまを合わせている、という言葉通り、時間がかかってもやがて二人は再び出会う。。。。。
たとえ今、お互いの生きる時間がズレていて上手くいかなくとも、想いが続けば神様はどこかで時間を合わせてくれている。そんなことを考えさせてくれるファンタジーだ。
清原果耶について、あらためて彼女の演技、役作りに対する真摯さを実感できる良い作品だった。クドカンの脚本も安定していて〇。
それからオーディションで抜擢されたというほぼ無名の福室莉音は「不適切にも・・・」でも昭和の女子高生役で出演中。4月からの朝ドラ「虎に翼」にも出演するそうで、これからの活躍に期待。2面性のあるミュージシャン・桜子を好演。
福室莉音。エクボがキュート。期待の新人さん。