意外にと言うか、面白かったと思う。

というのは、かなり強引で出てくる人間みんな弱くて悪くて、誰にも共感できない。

だが、人間ってこういうもんでみんなが自分や家族が可愛いものなのだ、と思うと妙にリアリティがあって、徐々にのめりこんで観てしまった。

 

何と言っても反町隆史演じる藤巻の、どうしようもなく自己主張の弱い流されやすいキャラが新鮮だ。ボソボソと人の目を見ないで話すというキャラを反町は「らしく」演じ切っていた。

彼と共に真相究明のため奔走する久留米穂希は波瑠。

彼女の美しさはミステリーにぴったり。

表情をあまり変えず、冷たい目をしているからかもしれない。

 

いきなり書いてしまうが、ストーリーが盛り上がってくるにしたがってどう見ても小野花梨が怪しく見えてきてしまう。そしてやはり、彼女が、、、、という展開ではあったが、初めて悪役を演じる小野花梨を見ることができ、満足。

彼女の奔放さが、不気味さを増幅させサイコパスな雰囲気が良く出ていた。

 

小野花梨。いい、いい、よかった。もっと色んな役を見せてほしい。

 

佐々木蔵之介、津田健次郎、筒井道隆は安定の悪者ぶり。

3人ともさすがであるが、中でも筒井道隆は最近どんな役でも完璧だと思う。

パワハラ男から、優しい父親、今回のようなクズ男まで、幅広過ぎる。

どれも彼の本当の姿のように見えてしまうのは、演技力の高さゆえか。

 

共演者は尾上松也、明日海りお、市川知宏、坂東彌十郎に加え、ゲストには西岡徳馬、高橋光臣など。

 

藤野涼子が出ていたが、「ソロモンの偽証」「ミヤコが京都にやって来た!」など、佐々木蔵之介との共演が多い。

同じ事務所(ケイファクトリー)だからというのもあるのかもしれないが。

 

倉科カナは最近絶好調だ。

色っぽくてかっこいい女性の役がハマっている。

「正直不動産」でもいい女。

実はこのドラマでの一番の悪者は彼女だった、というのも良い。

 

最後の最後まで、悪徳医者の佐々木蔵之介と、その周囲の人たちのだまし・だまされ合いが繰り返されて、それでも佐々木蔵之介演じる白鳥理事長の手のひらの上で転がされているだけ、、、、という絶望感の演出がよかった。

それだけに、9話というのはちょっと短いと感じられる。

12話まで引っ張り、倉科カナ演じる安曇杏梨との対決なども見てみたかった。

 

ダメな男たちと、やり手の女たちというコントラストもこのドラマの見どころ。

いい役者と良い脚本で、肩の力を抜いて楽しめる作品だった。