沖田X華原作。

そう、あの名作中の名作「透明なゆりかご」原作者だ。

彼女の作品で、NHKがまたドラマを作ってくれた。

挿入歌は前作同様、CHARA。

 

「透明なゆりかご」は当時16歳の清原果耶が天才的な演技で、心に深く残る素晴らしいドラマにしてくれた。今回は今、若手女優の中でも実力派最右翼の岸井ゆきの。

だが、今回は新たに生まれる命のドラマではなく、死を間近に迎えた人たちが入る療養病棟が舞台だ。だからテーマは「生」ではなく、「死」。

だが、どちらも命の尊さを語っている点は共通している。

 

このドラマ、俳優陣がすさまじい。

こんな豪華なキャスティングは、いまだかつて見たことが無い。

共演の松山ケンイチ、仙道敦子、内田慈、円井わん、国広富之と手堅いし、岸井ゆきの演じる辺見歩の母親に麻生祐未、妹に小野花梨というのも良い。

 

内田慈。結構好きな女優さんです。味があってもっと見たい女優さん。

 

しかし、患者やその家族役の役者陣がとんでもなく豪華なのだ。

wikiで紹介されている順に書くと、木村祐一、古田新太、きたろう、丘みつ子、根岸季衣、樫山文枝、木野花、高橋惠子、筒井真理子、泉ピン子、松金よね子、白川和子、鷲尾真知子ときた。

こんな有名どころのベテラン女優陣が、皆さんほぼゲスト扱いなのにすごすぎる。

黒田大輔、平山テツ、大後寿々花、梅舟惟永なども出演。

 

役者の名前書くだけでこんなに文字数使うとは、、、、笑

 

ドラマは4話しかなく、あっという間に終わってしまう。

まあ、多くの人の死を目の前にし向き合うドラマが10何話もあったら耐えきれないかもしれない。

だが、いつかは必ず迎えることになるその問題から目をそらすことはできない。

そんな過酷な毎日を、逃げることもなく一生懸命に向き合い仕事をしている医療従事者の方たちには尊敬の念しかない。

 

岸井ゆきの、と松山ケンイチがメインキャストだが、この二人をキャスティングしたのが素晴らしい。静かな演技を完璧にできる人ってそんなにいない。

二人ともそういう役者なのだ。

 

ある患者さんの親族が亡くなったあと、二人はいつも佇む屋上に出て、おにぎりとパンをほおばる。この行為は、何度も目にしてきた「死」に対し、折れそうになる心をなんとか保つために食べることで「生」をかみしめているようだった。

 

小野花梨演じる辺見歩の妹、佐都子は摂食障害で生きる意志が薄弱だ。

身近にそんな親族がいることも、歩にとってはどうしようもない絶望なのだろう。

最期は佐都子も姉の気持ちを理解し、お互いを思いやる気持ちを感じ、生きるきっかけを見つける。

 

小野花梨。同時期の「グレイトギフト」で演じる役とは真逆の演技。

「初恋ざらり」に続く主演作が待ち遠しい。

 

ドラマの序盤、歩は古田新太演じる本庄から「自分はどうなってしまうのだろう」と問いかけられて、ついその場しのぎの言葉で濁してしまう。

直後に本庄が自殺してしまい、そのことをずっと後悔している。

ラストシーン、歩は海を見ながら自分に問いかける。

「死ぬって何だろう」

その答えは若い歩にはわからない。

だが、療養病棟にいた高齢患者たちも、その答えを知らないままみんな逝ってしまった。

 

沖田×華は医療従事者であったからこそ、その答えを提示しなかった。

だからこそ、このドラマの価値はある。

また一つ、医療ドラマの名作が生まれた。

 

劇中、木野花演じる池尻が、歩の腕をつねるシーンが良く出てくる。

それには訳があったのだが、その時の「痛いー!」と叫ぶ岸井ゆきのが何か可愛い。。。笑