これはまたいいドラマを見逃していてしまっていたと反省。
気にはなっていたもののコレクションに入れたままになっていたところ、たまやんに面白いと言われたので見てみた。
松本穂香は「この世界の片隅に」で主人公のすずを活き活きと演じていて、役にしっかり入り込むいい女優さんだなと思った。
そして今回、本作でなりすまし家政婦の久保田ミワを演じていて、これが素晴らしく役に入り込んでおり、毎回次が楽しみと思わせるドラマになっていて、松本穂香の良さを再認識した次第。
物語は15分x32回。朝ドラと同じ単位なので当然、展開や演出もどこか朝ドラっぽい。
4話(1時間)単位で話が進んでいき、次が観たくなる仕掛けが随所にちりばめられ朝ドラ同様どんどん見て行ってしまいたくなる。
主人公の久保田ミワは、堤真一演じる大俳優の八海崇の大ファンで映画オタク。
地味で引っ込み思案、一人で映画を年間1000本見、映画に対する異常な愛情と驚異的な知識量を誇る。
MATTも学生時代から映画好きで、一年で250本以上見たことがあるが、1000本はすごい。そんなこともありミワの映画愛には激しく共感する。
ミワがなりすます家政婦・美羽さくらに恒松祐里。松本穂香もよいが、恒松祐里が珍しくドSな女の子をやっており、ファンとしてはかなり萌える。。。笑
ビシビシっと相手を論破していくのがなかなかよい。
「リバーサル・オーケストラ」や「きさらぎ駅」では全く違うキャラを演じる彼女。
もちろん、「全裸監督」はMUST SEEの一品。
八海崇の長年連れ添ったマネジャー・藤浦に山口紗弥加、同僚家政婦に片桐はいり、小泉もえこ。
八海と旧知の仲の女優に高岡早紀、ブレーク中の若手女優に伊藤万理華(時をかけるな恋人たちで好演)。ほかに、水間ロンや市川知宏、梅沢昌代など。
これらのキャスティングはさすがで、いつもながら安定したキャスティングをできる強みはNHKならでは。山口紗耶香、高岡早紀などが良い配役だし、片桐はいりは珍しくいい人役で、今回もエッジが効いていた。
嘘をつくこと、人を欺くことの罪悪感を抱えながら、どんどん後戻りできなくなるミワを演じる松本穂香は適役だ。彼女が持っているまっすぐさ、人に騙されても騙せないような雰囲気がミワをいう女性にピタリとはまる。
途中で八海に正体を見抜かれるも、その驚異的な映画への愛と、八海の出演作への知識の豊富さに、次第に二人の距離は近くなっていく。
そして様々な試練?を乗り越え何とかなりすまし家政婦を続けるも、最後はそうきたか、、、というある一件から藤浦に正体がばれてしまう。
病に臥せった八海の母とのエピソードは感動的だ。
このシーンで、なりすまし、人生を演じるといった本作のテーマが母子の最期の対面で描かれている。
人生を生きるとは自分を演じることに他ならない。
自分を生きられなかったミワは、それまで自信を持てず他人にも認められない人生を送ってきた。それが八海やその関係者と出会うことで自分の良さ、自分らしさを見つけたのだ。
自分が何者であるかを知り、自分らしく生きることができたミワはラストシーンで本当に幸せそうな笑顔を見せる。
コメディタッチのドラマだが、実はとても深いテーマ性を持っている本作。
原作の良さをいいキャスト、スタッフで素晴らしいドラマに仕上げている。さすがNHK。
リアルタイムで見られなかったが、一気に見ることで良さが存分に味わえた。
お勧めの一品だ。
ちなみに、、、
家政婦のミワ、というとやはり家政婦のミタ、家政婦のミタゾノ、そしてそれらの原点である「家政婦は見た!」へとつながる。市原悦子は偉大だ、、、、笑