シャットダウン中にじっくり観たいドラマを探しているが、やはり外さないのはNHK、テレ東、関西系TV局制作ドラマ、そしてWOWOW、NETFLIX、ディズニー+などの配信系。
今日は2018年のWOWOWドラマ、「イアリー」だ。
選んだのは、オダギリジョー、仲里依紗という名優の主演に加え、当時駆け出しの山田杏奈、森七菜、そして黒島結菜が出演しているという、ファンにとってはたまらないキャスティング。
後で知ったが、原作は前川裕。あの「クリーピー」の原作者だ。
「クリーピー 偽りの隣人」として黒澤清監督で映画化もされており、こちらも良い原作に良い監督、役者で傑作サスペンス映画に仕上がっていて、お勧めの一品だ。
ドラマの冒頭は何かが起こりそうな予感を匂わせながら、全6話の中盤までは複数のエピソードが並行して進み、これらがどうつながっていくのかを考えさせる構成となっている。
大学教授の広川誠司(オダギリジョー)は、妻の緋冴が急死し、大学の同僚で緋冴の妹である水島麗(仲里依紗)と関係を持っているという、ドロドロの状況。
彼らを巻き込む総長選挙の描写が序盤の物語りの柱になる。
一方、看護師をしている六道菜々美(黒島結菜)は決断力が無く流される性格から、ホストにハマり借金まみれの生活をしているが、ある時弁護士・土田律子(真琴つばさ)に助けられ、彼女に傾倒する。
更に広川家の隣人の篠田家では体調不良の母親がいて、学校ではイジメの的になってしまう女子中学生・篠田栞(山田杏奈)がもう一人の主人公。
この3人のエピソードは一見つながりが無いように見えるのだが、中盤で3つのエピソードが交錯して、大きな事件に発展していく。
緻密な構成力で飽きさせることなく展開していくストーリーは、さすが前川裕作品であり、それを映像化してみせたスタッフの力量も素晴らしい。
「クリーピー」でも描かれていたが、我々一般人にとって恐ろしいのはめったに現れない不審人物や強盗ではなく、すぐ近くに住んでいる、知っているけどよく知らない隣人だったり地域住民だったりするのかもしれない。
前川裕の描く作品は、そういった見えない恐怖をあぶり出し、見せてくれる。
オダギリジョーは、感情を表に出さないが裏では妻の妹と関係を持つなどの大胆さも持ち合わせる広川という男を、魅力的に演じていた。
仲里依紗も強気な性格だが、内にある脆さを大学教授と言う鉄の仮面で隠した女性を熱演。この二人の演技力で、物語の厚みが増している。
怪しい勧誘を繰り返す団体幹部・土田律子演じる真琴つばさは、宝塚歌劇団出身。
舞台役者は声が良いし、良く通るのでセリフが聞きやすい。
イッセー尾形の演技も凄味がある。
彼が昔TVで一人芝居をやっていたが、めちゃくちゃ面白かった。
人間観察力と、それを表現する力が超一流だ。
共演陣は、田中要次、内田春菊、筧利夫、佐戸井けん太、猫瀬椿、中村育二といった俳優さんたち。田中要次演じる橋本刑事は昭和の刑事ドラマファンにはたまらないスタイル。
物語りは何度もヤマを迎え、最後まで息をつかせない展開なのだが、ラスト近くの山田杏奈、森七菜のエピソードが衝撃的だった。
なぜ、、、と思うがこれも伏線あり。
最後に広瀬の語る一言にその理由が。
彼女たちが大人の愚かな姿を見て、弱った人の心につけ入ることで、簡単に自分の王国を作れるようになると知ってしまったのではないか、と危惧する。
本当の恐怖はこういった見えないところで、人々の生活を蝕んでいく恐怖なのか。
人の心が弱いものである以上、新興宗教のような存在は無くならないし不幸に落ちる人たちもなくらならい。
それにしても本作品、冒頭に書いたように黒島結菜と山田杏奈、山田杏奈と森七菜、という今では見られないお宝2ショット・共演が随所に見ることができる。
なんとも贅沢な作品だったが、それを差し引いても極上のサスペンスとしてお勧めの一品だ。
この二人が同じフレームにいるなんて、今では見られないし。
山田杏奈・黒島結菜の2ショットもあったけど、写真は無し。無念。
ちなみにこの話での山田杏奈、森七菜の役柄はなんと中学2年生。二人とも当時17歳だから高校2年生なのに、、、笑