「零落」を観て、竹中直人の映画を観たくなったので、「零落」の前に撮ったこの作品を観た。
「殺しのワンピース」「死霊の皿回し」といったパロディポスターが、映画ファンをにやりとさせる。
「ゾッキ」とは寄せ集めという意味。
その名の通り、複数の独立したエピソードが寄せ集められているが、それらが巧妙に交じり合うところがこの映画の見どころ。
映画好きの斎藤工、山田孝之と共に作ったということで、その点も大いに興味あった。
Yahooの評価では「何を言いたいかわからない」「中学生の自主制作レベル」などと散々なようだが、個人的には好きな映画だ。
そもそも映画なんてものは極めて個人的な自己表現手段である。
興行的に収益を上げられない、とか、万人が楽しめないとか、そういった尺度だけで判断・評価するのがそもそも筋違い。
この映画を観て、わけわからんから星一つ、とかいう輩はそもそも映画ってなんだよ、というところからもう一度考えてから出直してこい、と思う。
それはさておき、3人の映画を愛するクリエイターが、本当に好きに撮ったのがこの作品。
ロケ地は原作者の故郷である蒲郡市で、行ったことは無いが知っている街だ。
映像に映る街は、なんとなく郷愁を覚える風景。
鈴木福君がバイトしているレンタルビデオ屋も、今となっては昭和・平成の懐かしアイテム。
小さなどこにでもあるような地方の街で、登場人物たちのごくごく普通で何てことない日常が交錯する。
本当にどうでもいいような事件や出来事なのだが、一つ一つのエピソードが妙に愛おしい。
吉岡里帆演じる前島りょう子と、祖父役の石坂浩二の「秘密を持つこと」という話が、ラストシーンのりょう子と牧田(森優作)の会話につながっていく。
秘密は秘密のままであることで、ささやかな幸せが保たれる。
そんなささやかな幸せで、世の中回ってるのだ。
吉岡里帆の登場シーンは少ないが、最近時彼女のドラマでの活躍ぶりは頼もしい。
女優としての存在感が増してきた感じ。主役を張っていいドラマ、映画にもっと出てもらいたい。
この映画、3人の監督たちの人脈の広さが際立つ。
出演者がみな、魅力的な俳優ばかり。
鈴木福、満島真之介、柳ゆり菜、南沙良、安藤政信(あまりにむごい使われ方が最高。。。w)、倖田來未、竹原ピストル、板垣李光人、松井玲奈(幽霊役がシュールで素晴らしい)。
また松田龍平や国村隼、ピエール瀧などの大物も。
そして何より、木竜麻生が出ていると知り楽しみにして観た。
出演はほんとに短かったものの、ウェディングドレス姿が綺麗だったなあ。。。
いや、ほんと彼女の笑顔には癒される。
仲野太賀めえ。。。。ww
竹中直人は車好きなのかな。
この映画でも竹原ピストルが運転する車がAE86トレノだった。
昔、いとこの車好きの兄ちゃんが持っていて運転させてもらったが、ステアリングとクラッチが地獄のように重く、近所を一周するだけで死にそうになった。
万人受けする作品ではないが、こういう映画もあるんだよという意味では貴重だと思う。