石井杏奈(と中川大志)主演、および、清原果耶がブレークしかかり、の頃の映画ということで選んで観た。

 

原作を読んでいないので、忠実に映画化されているのか、はたまた監督のアレンジが効いているのかはわからないが、ちょっと残念な映画だったように思える。

 

ヒーローに憧れる北村匠海の父親は、川に落ちた車の乗員を助けるため冬の川に飛び込み人命救助の末、命を落とした。悲しい事実ではあるが息子にとっては父親はヒーローだ。

 

その父親が中川大志で、彼の高校時代の物語がストーリーの中心となる。

濱田清澄(中川)は、ある日、1年生の蔵本玻璃(石井)が酷いいじめを受けていることに気づき、彼女を救おうと決心する。

 

玻璃を救うことに成功した清澄との間に、友情とも愛情ともつかない感情が生まれていく。

そして、それはいつしかお互いのことをかけがえのない存在と感じるようになっていく。

 

と、いう展開になる中盤まではいい感じだった。

石井杏奈の体当たりの演技、感情表現、実は可愛らしい女の子だった、などとてもいい。

中川大志の青臭い正義感や、若者らしい爽やかさもよくキャラづくりできていた。

 

また玻璃がつぶやく「UFO」の存在や、彼女が手袋で隠した手首から見えるアザ(虐待?)の演出も、この後起こるおどろおどろしい何かを想像させてよい。

 

しかし、そこから急に物語がスプラッタ―ホラーへと急展開していくのは、ついていけない。

そうであれば、もっと早く玻璃の父親の堤真一という存在を出しておいて欲しかった。

あまりの唐突感に、それまで甘酸っぱい高校生の恋物語だったのが、どこかへ雲散霧消、気持ちの切り替え不可能なプロット過ぎる。

 

前述の堤真一、そして原田知世、木野花、矢田亜希子、北村匠海、井之脇海、そして清原果耶と、実力派の俳優をこれだけそろえているのに、実にもったいない。

もちろん、主演の2人も、だ。

 

スプラッタ―に行くのではなく、堤真一のようないい役者を据えたのだから、サイコパスに2人を追い詰めていく方向にできなかったのか、残念だ。

 

堤真一のサイコパスオヤジ、もっとちゃんと見たかった、、、悔やまれる。

 

それ以外は、世界観や役者の演技も素晴らしかっただけに残念無念。

上手く作れば結構、感動できたストーリーだったと思う。

 

石井杏奈。

若手の中でも大好きな女優さん。

派手さは無いけど、とても安心して観れる実力派。