WOWOWドラマ作品。
宮部みゆきや、桐生夏生、新津きよみなどの女流作家が好きで一時期小説を読み込んだ時期があった。
湊かなえの小説も、いつかしっかり読んでみたい。
本作はテーマが相当重いのだが、そこに一般的には「美形」女優の枠に入っている北川景子と吉岡里帆を主役に据えたところを注目したい。
二人ともこれまでは、その美貌で美しい女性の役を演じることが多かった(吉岡は、若干違う路線にもチャレンジしているが)。
なので今回のようなヒューマンドラマにこの二人がどうハマるか、が気にはなっていた。
だが、しっかりした脚本・演出に支えられて、たった4話の中でそれぞれ抱える苦悩を見事に表現し、強く生きていく女性を演じていて好感が持てた。
映画監督である長谷部役の北川景子、脚本家の甲斐役の吉岡里帆も、男社会で戦う女性という役柄から、すっぴん風メイクなのだが顔立ちの美しさは隠せない。
このリアリティも原作の世界観を体現するには重要だ。
物語は長谷部香が、ある事件を映画化するために甲斐真尋を誘い事件を徹底的に調べ上げていく中で、真実に辿り着くというもの。
途中、高橋光臣演じる幼馴染の正隆が長谷部に「知るという行為の先、何にたどり着く?」と問うシーンがあり、長谷部は淡々と「救い、かな」と答える。
真実を知るということは誰にとっても怖いものだ。
しかし人は知る、という行為を継続することで生きる目的をつかみたいのかもしれない。
自ら死刑を望み、刑の執行を待ち続ける殺人犯・立石力輝斗を演じる竹内涼真とは対照的に描かれている。
その力輝斗も、ラストでは長谷部からの手紙と告白で真実を知り、自らの生の欲求を取り戻すことになる。
北川景子は、長谷部の心の深いところにある自責の念や、やり場のない怒りなどを淡々と演じていて素晴らしかった。
一方の吉岡里帆も姉と母の不条理な死を胸に抱き心を閉ざす日々だったが、長谷部の苦しみながらも前へ進もうという姿にやがて心を開いていく。
その心の揺れを実に上手く演じていた。
地上波であまり目立った活躍ができていなかったことから行く末を心配していたけれど、最近時、「ガンニバル」で子を守るために命を張る母親役を演じるなど配信系ドラマでの活躍が素晴らしい。
黒木瞳、宮川一朗太、真飛聖、小林隆などの配役も良い。
特に宮川一朗太の父親は、自然な演技が素晴らしいと思う。さすがベテラン。
物語のキーマンである立石沙良役を演じた久保史緒里が非常に振り切れていてよかったのだが、あまりのサイコパスぶりにアイドルとしての立ち位置は大丈夫かと心配してしまう。
ドラマでは立石家、長谷部家、甲斐家とそれぞれ異なる事情を持つ家族が描かれるが、家族という最小単位が子供にとってどれほど重要かということを考えさせられる。
幼い子供にとっては両親、家庭がすべてであり、他に逃げ場がない。
そのことをあまりに考えない親が、この世界には多すぎるという悲しい現実があると思う。