湊かなえの問題作が原作の映画。

最近は小説を読まなくなったが、こういう作品は原作を読んでおきたいものだ。

 

廣木隆一監督、戸田恵梨香、永野芽郁主演の「母性」を観て、現在WOWOW配信中の「落日」を観ようと思っていた。その前にこの作品を観たかったがアンブロックには無かったので諦めていたが、NETFLIXで配信されていたので観ることができた。

 

松たか子の鬼気迫る演技に驚嘆し、この映画公開とほぼ同時期に「mother」で衝撃的デビューを果たした芦田愛菜はほぼセリフの無いまま、ある意味贅沢な使われ方であることにまた驚いた。

 

監督は「嫌われ松子の一生」などで、独特の世界観が異色の中島哲也。

岡田将生や木村佳乃の好演も光る。

新井浩文や金井勇太らもまだ若く端役だった。

 

また生徒役ではまだ中学生の井之脇海や、3年後に「あまちゃん」でブレークする橋本愛、能年玲奈らが出演。特に橋本愛はその美少女ぶりを存分に発揮し重要な役をもらっているが、能年玲奈はほとんどカメラに映らない。三吉彩花なども同じく。

 

冒頭、松たか子による謎めいた独白から引き込まれていく。

そこから主要な登場人物の告白が続いていくが、それらがこのドラマの主軸になる事件の概要を少しずつ明らかにしていく。

 

テーマは少年犯罪であるが、被害者の母親である教師・森口(松たか子)による徹底的な復讐劇というところが特異なところ。

一般的に少年法は未成年の更生を前提として設計されているが、この物語はそんなことはお構いない。

そもそもが被害者の視点に立っているからだ。

人を殺めたものが未成年だろうが成人であろうが、許せないものは許せない。

それが被害者感情であろう。

 

「目には目を、歯には歯を」を社会が許すようであれば、それはもはや法治国家ではない。

ゆえに法律があり、犯罪者には誰もが納得できるような裁きを与える。

だが人間の感情は法では救えない。法律の限界はそこにある。

 

森口の取った行動を誰もが肯定はしないとしても、その感情の根本にあるものを否定はしないのもまた真実だろう。

大切な人を奪われた悲しみは、その人にしかわからないものだ。

 

湊かなえの人間のストレートな感情を見事に表現した原作、それを中島哲也が独特の感性で映像化し、松たか子の怪演で心に刺さる作品となった。

何が許されて、何が許されないのか、、、じっくり考えたくなる。

 

3年後にこの二人が朝ドラで世を席捲することになるのね。。。。