一年前の8月、終戦記念日にNHKで放映されたドラマ。
壺井栄の原作はあまりに有名。何度も映画、ドラマ化されている。
その名作の主人公、歴代の名女優が演じてきた大石久子を、一押しの土村芳が演じるというので、見ないわけにはいかない。
本放送を録画できなかったので、今年1月の再放送をかみさんに録画してもらっておいて、今日見ることができた。
土村芳は、若いおなご先生の役から晩年になりもう一度小豆島を訪れて、教師をやるまでを非常に丁寧に演じていた。
もともと昭和顔の彼女、すっぴん風メイクも違和感なく時代に溶け込んでいた。
原作が素晴らしいので、たった1時間半のドラマだったが人々の幸せを奪っていく戦争への憎しみ、悲しさ、絶望がよく描かれている。
出演者は、麻生祐未、国村隼、中島歩、宇野祥平、濱田マリ、仁村紗和など。
生徒のうち、島を出て働きに出る印象的な娘・松江役に白鳥玉季がここでも名演。
彼女は本当に将来いい女優さんになると思う。
松江の成人役には加藤小夏。「最果てから、徒歩5分」で印象に残った女優さんで、このドラマでもちょい役ながら光っていた。
ラスト、終戦を迎えて生き残った生徒たちが大石先生のために同窓会を開く。
そこで失明した生徒が、昔記念に撮ったみんなの写真を手に取り、目が見えなくてもみんなが見える、、、と指さしていくシーンは涙なくして見られない。
土村芳は、この名作の主人公を堂々と演じていた。
彼女の演技力は確かなものであるけど、民放では使いづらいのかもしれない。
NHK、もしくは配信系のドラマ・映画でもっと活躍の場を作ってもらいたい。