今年もほぼ寝ないまま3本の映画を鑑賞してきた。
「怪物」
監督:是枝裕和。脚本:坂元裕二という豪華な作品。
ともにファンなので、これは見たかった。
安藤サクラと永山瑛太の競演というのも見どころありだし、出演者もいわゆる「坂本組」の、田中裕子、高畑充希、角田晃広らが名を連ねる。中村獅童も出演は少ないながらも存在感を発揮。
是枝監督の計算されたカット、カメラワーク、編集に、坂元裕二の一つ一つのセリフをかみしめるような脚本がうまくマッチして、心に残る作品となった。
「怪物」と言われるような子供を作ってしまうのは、周囲の大人たちのせい。
子供たちはいつも純粋で生きるのに一生懸命なのだ。
ラスト、豪雨が去り太陽の眩しい光の中に向かって駆け出していく二人の少年のシーンは、とても美しい。
高畑充希の出演シーンは少なく、しかもビッチな感じの役だが、これは決して無駄遣いではなく、そういう役が当たるようになったということで、彼女が女優として一流の仲間入りしているということに他ならないと思った。
「HUNT ハント」
韓国映画。新しすぎてまだwikiがない。
久しぶりに韓国映画を見たが、やはり日本映画が追い付けない部分があると実感。
1980年代の旧KCIAの国内班、海外班の班長同士が、内部密通しているスパイの存在に翻弄されながら、国家を守るために死闘を繰り広げるという作品。
北朝鮮、韓国軍、KCIAが入り乱れ、登場人物も多く、かつ陰謀も入り交じり、ストーリーも複雑、どんでん返しも何度もあり何が何だかわからない映画だが、派手なアクションと魅せる演出で、ストーリーについていけなくても、なぜか楽しめてしまう。
これが韓国映画の底力だ。
ストーリーには韓国の歴史を語る上では避けて通れない「光州事件」が関わっている。MATTも韓国時代にYMさんに聞いたり、ソン・ガンホ主演の「タクシー運転手」で知っていたので、すっと心に入ってきた。
そういえば、昔、KCさんが一度KCIAの試験を受けたことがあると言っていた。
そういう話が身近にあるのが、停戦中の韓国の現実。
駐在前研修の時に「有事の際は歩いてでも南に向かって逃げてください」という、笑うに笑えないアドバイスを受けたが、映画の中でイ・ジョンジェがコ・ユンジョンに同じことを言うシーンがあり、やはり現実なんだと実感。
ストーリーをよく把握してもう一度観てみたい映画。
MATTの世界の美女を求めてシリーズ(?)。
コ・ユンジョン映画の中ではKCIAに激しい拷問を受けるなど、体当たりの演技も。
日本人受けする美人。
「ザ・コンサルタント」
ベン・アフレック主演。「アルマゲドン」のいきのいい若者も恰幅の良いいいおっちゃんになっていた。発達障害の会計士が実は凄腕のスナイパーだった、といういかにものストーリーだが、これが意外に面白く、テンポよい展開に切れのあるアクション、魅力的な登場人物とエンタメとしては秀逸な一品だった。
主人公のクリスチャン・ウルフを主演にシリーズ化してもよいかも?
発達障害の人たちが、実は世界の様々なシーン、領域で活躍しているのだろうがそんな妄想を掻き立てる作品。多様性というものを考えさせられる。