全国の引きこもり者数は、60万人以上とも言われている。

そもそも、引きこもりになってしまう原因は人それぞれであり、極めて個人的な理由からなのに、なぜか社会は引きこもり者に対し「生産性が無い」とか「いい大人が」と理解が薄い。

 

「0.5の男」とは二世帯+αのアルファの部分に独身者などを想定して使われている言葉らしい。

このドラマでは松田龍平演じる引きこもり中の雅治がまさにその「0.5」なのだ。

 

本当に引きこもりの息子・娘を抱えている家庭は、もっとシリアスで壮絶な環境に違いないが、このドラマの人たちはどこまで行ってもユルイ。

エンディングテーマもユルイし、毎回のサブタイトルもユルイ。

 

だが決して不真面目なドラマではない。

引きこもりは決して特別な存在ではない。それは彼ら側だけの問題ではなく、彼らが生きる社会の問題でもある。ということは我々自身の問題でもあるわけだ。

一人一人の人間が相手を思い遣り尊重し、どう向き合うかということなのだろう。

そういったテーマを考えさせてくれる良質なドラマだ。さすがWOWOW。

 

父親役の木場勝己は本当に味のある役者さん。

ピシッとしたエリートから、今回のようなちょっとヨボヨボのおじいちゃんまで、何でも完璧にこなす。母親役の風吹ジュンは、最近はこういった穏やかで優しい日本の母が板についてきた。彼女がしばらくこのポジションを独占するだろう。

 

臼田あさ美、井之脇海、広岡由里子など安定感ある脇役もドラマを支える。

 

西野七瀬が保育士(保母さんね。。。)の役を好演している。

いきなり土手から転げ落ちたり(かなりハードアクション?)、ちょっととぼけながらもしっかり者な感じの保育士が、妙にはまっている。

彼女のことは別の記事で書きたい。

 

今回のドラマで特筆すべきは、臼田あさ美の娘役で雅治が引きこもり生活から一歩を踏み出していくきっかけを作る重要な役を担った、白鳥玉季だ。

弱冠13歳ながら、数々のドラマに出演。

「御手洗家、炎上する」でも存在感を示していて、ブログに書いたのを思い出した。

この子の演技は、かなりしっかりしていてちょっと天才的なものを感じる。

 

同じ10代だと、すでに実績のある豊嶋花、「妻小」でブレークした毎田暖乃と並んで、10年後が非常に楽しみな女優さんだ。

感情表現が多彩で、表情のつくり方や声の使い分けも上手く、どういった女優さんに成長していくか本当に楽しみ。

 

扱いの難しい多感な年ごろの少女役を、完ぺきにこなす才能に感服。

 

松田龍平は、本当に最近父・優作に似てきた。松田優作ファンとしては嬉しい限り。

もう、父の演技は観られないが、松田龍平の演技を今後も見守っていきたい。

人間の弱さや優しさを表現できる、よい役者さんだ。

 

最後に、家族というのは壊れてまた再生し、壊れる。

そしてまた再生していく、、、、そんなことを繰り返して時を育んでいくのが家族であり、人間なんだろうと思う。