Netflix配信ドラマ。
永野芽郁、恒松祐里という、今、若手でイケイケの2人が出ているというだけで観る価値ありだったが、その期待を超えてもう一人の主演の鈴木京香の女優っぷりがすさまじかった。
ストーリーはなんとなく韓国ドラマを彷彿とさせるような復讐劇、家族愛がテーマ。
13年前の御手洗病院の火事で、火事発生の責任を取る形で御手洗家を出ていくことになった母・皐月(吉瀬美智子)、その娘の杏子(永野芽郁)、柚子(恒松祐里)。
二人の娘は母親の無実と真犯人を探し出すために、皐月が去った後に御手洗治(及川光博)と結婚し、御手洗家で思うがまま生きている真希子(鈴木京香)に近づいていく。。。。
全8話だが、テンポよくストーリーが展開していき、真相にたどり着くまで見せ場はたくさんあって飽きない。また序盤で火事の原因となった人物は真希子ではなく、彼の長男の希一ではないかという匂わせもあり、終盤までその流れでもっていきつつ、最後に実は、、、という組み立てもまずまず。
永野芽郁目当てで観たが、自らが正しいと信じるものにすべてを捧げ生きる強いヒロインを魅力的に演じている。少々危うげで決して常に強いわけではない(時にくじけそうになる)がやる時はしっかりやる、そういったキャラクターを演じる彼女はよい表情を見せる。
彼女は、よい俳優・女優と共演することで成長していくタイプではないか。
そう思わせたのも、このドラマのもう一人のヒロイン・鈴木京香の熱演だ。
真希子という、あらゆる欲の権化のような怪物を強烈なインパクトで演じている。
このドラマはまずもって真希子という、人間の持つ普遍性というか、見たくはないけど必ず誰もが持っている闇の部分を凝縮したようなキャラクターが軸にいて回っていく。
その重要な役まわりを鈴木京香は女優魂で完璧に演じ切っている。さすがである。
そんな鈴木京香に負けじと必死に食らいつき、がっぷり四つで演じた永野芽郁もあっぱれと思う。
柚子を演じた恒松祐里は永野の妹役だが、実際は彼女の方が永野より一つ年上。
でも妹役がハマるのは、彼女のちょっと幼さが残る振る舞いだからだろうか。
真希子に正体を見抜かれ、喫茶店で対面するシーンがある。
テーブルの上ではにこやかな表情で柚子を追い詰めていく真希子、しかしそのテーブルの下では真希子が柚子の足をヒールでグリグリ踏みつけている。。。
こんな恐ろしいシーンでの、恒松祐里の表情のつくり方が上手い。
復讐劇というと最後は主人公が思いを遂げ、悪が裁かれる、、、というのが常套であるけど、このドラマは家族愛をテーマにしているので、皐月とその娘たち、真希子とその息子たちがそれぞれ新しい未来に向かって前向きに生きていく、というエンディングとなっている。
これはこれで爽やかで受け入れやすい。
吉瀬美智子が真犯人に語る言葉がとても心に残る。よいシーンである。
工藤阿須加はそれまで無難な人物を演じることが多かったと思うが、今回はミステリアスな役を演じて、少し違った側面を見せてくれた。
杏子の友人で復讐劇に多大なる貢献をするクレアに北乃きい。
その他出演者は、濱田マリや片岡礼子(ちょい役)、野間口徹(沈着冷静な刑事役がハマっていた)、中川大志など。
杏子の子供時代を演じた子役の白鳥玉季は、どっかで見たことあるなあと思ったが、いろんなドラマで子役出演している。きりっとした表情が印象的な女優さん。
また、真希子担当の編集者役で奥田恵梨華。
サラリーマンNEOに出てた時すごく好きだった。このドラマではやり手編集者役で最初見た時、誰かわからなかった。
それにしても、ミッチーこと及川光博演じる治は、本当にダメダメな男。
これ、ミッチーが演じる必要あったろうか。ちょっとミスキャストな気がする。
こいつが一家の大黒柱としてちゃんとしていれば、そもそも復讐劇が起こらなかったわけで、そういう意味では重要なキャラクターなのだが。。。
色々書いたけど、何を持ってもこの二人の緊張感あふれるやり取りがこのドラマのすべてであることは間違いない。
親子ほど離れた年齢の二人の女優が、お互いに持ちうるすべてをぶつけあった演技が印象的な一品だった。