好きな女優さんを見つけると、その出演作シリーズで攻めたくなる。

今は木竜麻生の作品を徹底的に見てみたい。

 

この映画は以前タイトルで気になってキープしていたものの、いつの間にか忘れてしまっていたが、木竜麻生が出ていると最近知り見てみることにした。

 

監督はこの映画が劇場映画デビューの野尻克己。

大森立嗣らの助監督を務めて来た人物。

木竜麻生は2014年の大森立嗣監督作品「まほろ駅前狂騒曲」で女優デビュー。

映画・ドラマ業界ってそういうつながりでできているのだろう。

ちなみにその「まほろ駅前狂騒曲」には今回の映画に出演している、岸部一徳、大森南朋(大森立嗣の弟である)、吉本菜穂子、宇野祥平らも出演している。

 

物語は引きこもり中の一家の長男・浩一(加瀬亮)の自殺シーンから始まる。

第一発見者であり、そのショックでしばらく寝たきりになり、やっと目が覚めたと思ったら記憶を失っていた母親・悠子に原日出子。

その夫の幸男に岸部一徳、長女・富美に木竜麻生というキャスト。

主に鈴木家の4人に、おじの大森南朋、おばの岸本加代子が絡みストーリーが進んでいく。

 

一家はやっと目が覚めた悠子が、浩一の死を知ってまた落ち込まないよう、富美のとっさの嘘で浩一が生きていることにしてしまう。

すぐにバれそうなウソではあるが、なんとかかんとか母親に浩一の死を感じさせないよう結束する鈴木家の面々。

 

だが本来、家族は真正面から向き合っていかないといけないはず。

こんな嘘も長続きせず、ある日ある出来事をきっかけに浩一の死が悠子にばれてしまう。

落ち込む悠子。しかし今度は兄の死に直面した後、何とか精神のバランスを保ってきた富美が壊れてしまう。心の中にしまい込んでいた、自分の一言が兄を死に追いやったのではないかという思いに押しつぶされてしまったのだ。

父・幸男も息子の本当の気持ちを聞いてやれなかったことを深く後悔していた。

家族3人が、浩一の死を持って自分たちがいかに彼のことをわかっていなかったか、家族みんなで向き合ってこなかったかと思い知らされる。

 

テーマは重いが作風はどこか陽気な部分もあり、実は肩の力を抜いて観ることができる。

特に後半、祈祷師を呼んで家族みんなで浩一の霊に語り掛けるシーンなどは、どう見てもインチキな祈祷師なのにみんな真剣に話しかけているところが秀逸だ。

 

やっと家族は浩一の死を受け入れることができた。

それぞれが、自分の中で彼の苦しみを咀嚼し理解することができたのだ。

本当は生きているうちにそうしてあげればよかった。

人間は誰しもそうやって後悔しながら生きていくものなのかもしれない。

 

ラストシーンで、生前の浩一が通っていたソープランドのイブ(幸男が、浩一のことを知るために一生懸命通って口説いていた)が、やっと幸男に会ってくれることになり、家族3人で家を出ることろで終わる。

家族の未来に希望の光が見えるいいラストシーンだ。

 

木竜麻生は気が弱い性格ながらも激しい部分も持ち合わせた、どこにでもいる女の子を演じている。彼女は現代のTVドラマ向きではないかもしれない。

ネット配信や映画のように、色々な表現ができる世界で活躍してもらいたい女優さんだ。

 

 

映画の中では得意の新体操も披露。

このころの木竜麻生は、かなりムチムチしています。。。。。