今年の上半期でベストと言ってよい、名作ドラマだと思った。
岡田恵和らしい、人間の心の温かさを信じて描くストーリーは特段大きな事件は起こらず、また悲しい現実を背負った主人公たちの物語なのに湿っぽくはなく、、、
そんな不思議な雰囲気を持った作品だ。
清野菜名演じるサチ(おだいり様)、岸井ゆきの演じる翔子(ケンタ)、生見愛瑠演じる若葉(わぶちゃん)が、あるラジオ番組のオフ会を通じて出会い、一度は別れるもののある一件がきっかけでまたつながって、そして運命の親友へと発展していく。
物語の展開はたまたま買った宝くじが当たったり、順調にカフェを開いたりと順風満帆なのだが、それを許しているのはこの3人の育ってきた辛い境遇と、彼女たちの幸せを心から信じ祈りたい、という気持ちがあるからなのだろう。
今の日本は一生懸命生きている人が幸せになれない現実に、みんなが疲れ切っているのかもしれない。だからこそ、3人の生きる姿にエールを送りたいし、物語も決して不幸な方向に行ってほしくないと切に願ってしまう。
3人とともにカフェオープンの夢を実現していく原動力になる人たちも、皆応援したくなる人たちばかりだ。
サチの母親の邦子に和久井映見。少しぽっちゃりになったが変わらず可愛らしい。
若葉の祖母の富士子に宮本信子。大女優の貫禄で彼女の登場シーンは場面が引き締まる。
3人を精神的にもサポートするみねに岡山天音。個性派俳優として、最近着々と地位を築いてきている。「ミステリという勿れ」での演技は素晴らしかった。
カフェプロデューサーの賢太に川村壱馬。まだ出演作も少ないこれからの俳優さんだ。
「日曜の夜ぐらいは・・・」のタイトルの意味をずっと考えていた。
このドラマ、日曜の夜に見るには最高のドラマだ。
こんなに人が生きている姿を応援しながら見たくなるドラマはほかにない。
サチ、翔子、若葉の幸せを願い、変な奴くるな、悲しいことは起きるな、、、と祈りつつ、ドラマの終わりには、今日も大事にならなくてよかった、、、とほっこりした気持ちで終われる。
日曜の夜ぐらいはそんな気持ちでいたい。
そんな感想を持っていたが、最終回で清野菜名の「日曜の夜ぐらいは・・・」のタイトルにちなんだモノローグがあって、納得した。やはりそうだったのね、と。
女子3人というと少し前の「ブラッシュアップライフ」で話題になったけど、このドラマの3人もとてもよい3人組だった。
清野菜名はこれまで元気いっぱいの役が多かったきがするが、サチのような心に痛みを抱えた女の子もしっかり演じることができて、いいなと思った。
もしかすると、満島ひかりのような女優さんになるかもしれない、と期待している。
岸井ゆきのはあの大きな目と口が本当に素晴らしい。
彼女の顔の作りは俳優向きだ。3人の中では唯一家族から見放されてしまった女の子を演じているが、その孤独を一身に背負って生きる姿を懸命に演じている。
生見愛瑠はとても勘のいい女の子なのだろう。「石子と羽男」での演技を評価されていたが、演じることに対する感性が高いのか、自然な表情を作るのが上手だ。
特に最終話で母親と再会するシーンなどは、一瞬で暗い表情になるなどなかなか見せる演技だった。
登場人物はさほど多くない。
生田智子やかとうかず子がちょい出演(サチの妄想の中の、翔子の母親役)、個性的な橋本じゅん、時任三郎の息子の時任勇気、そして、3人が当てた宝くじの販売員の椿鬼奴くらいか。
そんな中でもサチの父親の・博嗣を演じた尾美としのり、そして若葉の母親・まどかを演じた矢田亜希子は素晴らしかった。
二人とも娘にとってはひどいクズ親、毒親なのだ。
だけど妙に憎めない人間的なところの演じ方が上手い。
元妻の邦子にほっぺたをひっぱたかれ、娘から奪ったお金を返せ、と怒られてしょげる博嗣を見て、彼も本当はこんな姿を見せたくないんだ、、、と同情してしまう。
また、あれだけ酷いことをしていながら、母親と娘に見捨てられたと知るや、自分から娘のカフェに会いに来るというまどかの行動は、こんなひどい親でも娘を想う気持ちがまだあるんだ、と人間の複雑な心理を強く感じる。
こんな親でもまだ会いにくるだけまし。
翔子(岸井ゆきの)の親は一切出てこない。こういったコントラストのつくり方も良い。
主題歌が効果的なのもこのドラマの良いところ。
Mrs.GREEN APPLEの「ケセラセラ」はアップテンポで元気が出る曲。
ドラマの世界観とマッチしており、毎回のエンディングはとても楽しい。
早速購入してしまった。。。
脚本、俳優さん、音楽、すべてが素晴らしいハーモニーの心に深く残る作品となった。
最終回のサチの妄想シーン。
ミネに向かって走ってくる花嫁姿の三人。
これはこれで、MATTの妄想としてしっかり心に刻ませていただきました。。。。。笑