この春ドラマでは秀逸な作品の一つと言える。毎回考えさせられ次回が楽しみなドラマだった。
奈緒、という今やこの年代でも実力派トップの女優が主演となると、彼女をどう料理するかに期待がかかったが、「昼顔」のスタッフが再集結して奈緒の魅力を最大限に引き出すことに成功したと思う(その「昼顔」はまだ見ていないが、、、、、)。
みち(奈緒)の夫・陽一(永山瑛太)、そしてみちが恋に落ちる上司の新名(岩田剛典)、その妻の楓(田中みな実)。どのキャストもピタリとはまり、ドラマを盛り立てる。
永山瑛太は「最高の離婚」の時のダメな夫が、更にダメになった感じなのだが、男から見るとああいう人間・夫は珍しくないと思えるだろう。
MATTも若い頃を振り返るとあんな感じの自己チューで自分しか見ていなかったかもしれない。それでも離婚せずにいたのは奇跡なのか、かみさんが我慢強かったのか。。。。。笑
岩田剛典は甘いマスクのイケメンぶりに年々磨きがかかっていく。その妻役の田中みな実はセンスがいい。アナウンサーあがりとは思えない表現力。決してお世辞ではなく上手いと思う。
このドラマ、「昼顔」のスタッフが作ったことから最初の頃「不倫ドラマ」と言われていたが、ちゃんと見ている視聴者はこれのどこが不倫ドラマやねん、思っていたに違いない。
このドラマ、セックスレスの夫婦を描きながら根底には夫婦の意味を問うているのだ。
単身赴任を長くしていると不思議な感覚になってくる。
独り者のわびしさは当然感じるのだけど、一方で自分の時間を自由に使え誰にも邪魔されない生活に、開放感を感じている。おそらくかみさんもそうだろう。
だとしたら、結婚ってなんだ?夫婦ってなんだ?となる。
セックスレスは夫婦にとって重大な問題なのかもしれないが、もっと重要な問題がその陰に潜んでいるのではないか?と。
そもそも夫婦って何のためにお互い存在しているのか。。。。
そういった目線でドラマを観ていくと、なるほど、ほー、確かに。。。。
などといちいちうなずいている自分がいた。
みちと新名が惹かれ合いながらも決して交わらないのも、単純に互いのパートナーから心が離れてしまい、新たに好きになった人と一緒になりたいからではない。
新たな恋愛の対象の先にもまた、同じ壁、夫婦という得体のしれない何かが存在していて、少なくともみちは、その先にあるものを見ているのだろう。
そしてドラマは最終回を迎え、陽一が雇われ店長をするカフェに、4人が期せずして集まってしまうという地獄な展開に。
そこで男前にみちへの想いを語る新名。そして相変わらず自分の言葉で話せないダメな陽一。
陽一の店を後にした3人。
急に思い出したかのように忘れ物をした、と店に戻るみち。
みちの忘れ物は、遠い昔に陽一を好きになった時の記憶だったのだろうか。
一方、楓は新名に「かっこよかった」とはにかむように伝える。
楓もまた新名を選んだ頃の自分を思い出し、新名もまた楓に対し素直な気持ちになれたよう。
一度は壊れた二組の夫婦。
向き合うことを恐れていたから、セックスレスはきっかけであり言い訳に過ぎなかったのか。
本当はお互いのことを真正面から見ていなかっただけ。夫婦も所詮は他人同士。
その事実を受け入れて、お互いが夫、妻を演じるのをやめて一人の裸の男と女になった時、初めて心が通い合うのだろう。
宇野祥平、MEGUMI、大塚寧々、武田玲奈と脇もまずまず。
特に武田玲奈、彼女もいいセンスしていると思う。
これから先バイプレイヤーとして重宝されそうだ。
武田玲奈。「おいハンサム!!」での三女・美香役は最高。
彼女のコメディエンヌとしての才能を確認できた。
また野間口徹が最終回、ちょい役で出演という贅沢。
「それパク」では脇役ながらピリリとスパイスの効いた役で、「上水流涼子」では、物語の鍵を握る人物と、この春ドラマでも活躍しまくっている。
このドラマでもう一人忘れてはいけないのは、結衣花役のさとうほなみ。
あまり彼女のことは知らなかったが、ゲスの極み乙女のドラムスという異色の女優さん。
彼女、独特の色気があって身近にいるとドキドキするタイプだ。
気になる女優さんで、もっと色んな役を見てみたくなる。
いい、とてもいい女。このキャスティングも素晴らしかったと思う。
最後に、音楽も秀逸。
稲葉浩志が歌う主題歌もよいのだが、井上陽水の名曲をカバーした「ダンスはうまく踊れない」がとてもいい。あのねちっこい歌い方でエロティックさ全開。ドラマにぴったり合っており、こっちを主題歌にしても良かったのでは?と思うがさすがにそれは大スター、稲葉浩志にとっては受け入れがたし、だろう。
豊作の春ドラマの中でも心に残る作品でした。
水族館好きのMATTには、キュンキュンしたシーン。
品川プリンス内にある水族館だそう。知らなかった。。。
今度行ったら寄ってみよう。