たまやんに教えてもらって観ることに。

夭逝の天才俳優である三浦春馬、そして多部未華子が主演とあれば、これは観てみたいと思わせるドラマだ。

2014年の作品なので、二人ともまだ20代半ばと若い。

 

物語は冒頭、車いすに乗った三浦春馬が茫然とした表情で雨の中を進み転倒するシーンから始まる。そのあとすぐに学生生活を送る三浦春馬が登場するため、これから何かが起こるというのが想像できる。

 

ALSを患った三浦春馬演じる拓人が、毎回話が進んでいくたびに病状が進行していき、できることや行動範囲が狭まっていくのが見ていて非常に辛い。

だが、このドラマの主題は病気にかかった主人公の悲劇を語るものではない。

困難な状況でもいかに生きるか、そして命というものはその人だけのものではなく、一緒に生きている人たちにとっても大切なものなのだ、ということを教えてくれる。

 

それが多部未華子演じる恵との出会いや、遠い存在になっていた父、母、そして弟に自分の考えを正直に伝えたことや、友人、先輩、職場の同僚らとの交流から、拓人本人が少しずつ心を開いて受け入れていくことを通じて、丁寧に描かれていく。

そこには安直な予定調和はなく、一人一人の人間の心のぶつかり合いがある。

 

三浦春馬の演技力の確かさ、多部未華子の若さ(未熟さ)を感じさせない安定感。

このドラマが薄っぺらくならなかったのは、この二人の役者の功績が大きい。

 

斎藤工、山本美月、風間俊介、原田美枝子、小市慢太郎、浅田美代子、吹越満、近藤公園。

当時駆け出しだったり、すでにベテランだったり、なかなかのキャスト。

まだ中学生だった浜辺美波も出ていて、なかなかの美少女ぶりを見せてくれる。

 

このドラマは「どう生きるか」をテーマとしているが、土村芳主演の「ライオンのおやつ」は、「どう死ぬか」をテーマにしたドラマ。

どう生きるかとどう死ぬかはほぼ同義語であると思う。

 

「僕のいた時間」のタイトルは最終話、拓人の講演の中でのセリフに出てくる。

「僕を支えてくれるのは、それまで生きた時間、僕のいた時間じゃないか」

しっかり最後まで自分なりに懸命に生きた時間、それがあるから生き続けることができるし、たとえ命尽きてしまったとしても、その死は尊い。

時を超えてつくられたこの2つのドラマは、ぜひ一緒に観てほしいと思う。

 

最後に。

本作は、三浦春馬が「命を題材にしたドラマをやりたい」と言って企画されたドラマだそうだが、

その彼がなぜあのような死を選んだのか。彼はこのドラマで何を感じ、その後の人生にどのような影響を及ぼしたのか。。。。それはもう彼にしかわからないことだが。