いつも質の高いWOWOW連続ドラマ。
しかも「アンナチュラル」「MIU404」「コタキ兄弟と四苦八苦」そして「逃げ恥」の野木亜紀子が脚本だ。これはもう見ない手はない。
沖縄、米軍基地、日米地位協定をベースというと社会派の硬い作品かと思ってしまうが、サスペンス要素や沖縄の人たちの「やんくるないさー」なテイストも上手く取り入れ、肩の力を抜いて楽しめる極上のエンタテインメントになっている。
MATTはまだ沖縄に行ったことが無い。
その理由はずっと自分の中にしまっていた。
それは、米軍基地問題をないがしろにして観光なんかしてられない、という思いがどこかにひっかかって、足を遠ざけていたのだと思う。
だからこそ、このドラマを観て自分の中で色々消化したかったのだろう。
松岡茉優と、宮本エリアナという黒人と日本人のハイブリッドの女性のW主演。
宮本エリアナは綺麗な顔立ちの子だな、と思ったら元ミス・ユニバース・ジャパンのグランプリだそう。女優デビューはこの作品のようで、今後が楽しみだ。
スポーツ界でも芸能界でもダイバーシティはよいことだ。
宮本エリアナ。美人やね。
本作品はフリーの雑誌記者役の松岡茉優が本当に冴えている。
彼女の女優としての魅力は、まさにこの作品のキーのような女性を演じることなのだと思い知った。それほどキーを演じる松岡茉優は素晴らしかった。
以前もブログに書いたけど、強さと弱さ(脆さ)が危ういバランスで同居している、そんなタイプの女性を演じたら、20代女優では松岡茉優しかいないのでは、と思う。
そして、池田エライザとも違うタイプのかっこよい女性。
故・竹内結子が張っていたかっこよい女性のポジションは、ぜひ彼女に引き継いでもらいたい。
このドラマの松岡茉優、かっこいいです。
ストーリーは米軍、辺野古基地問題、レイプ事件、日米地位協定と我々日本人が見て見ぬふりをしてきた色々な「不都合な真実」をちりばめつつ、主人公の一人・宮本エリアナ演じる桜の友人の琉那が受けたレイプ被害と、その犯人捜しをきっかけに進んでいく。
また、キーの過去(母親との愛、確執)、そして桜の苦しみ(黒人とのハーフという身の上)もそれらメインストーリーと並行して描かれる。これらが沖縄人として生きる彼女たちの苦しみや誇りを感じさせるサイドストーリーとなっている。
脇を固める登場人物も魅力的だ。
沖縄を愛する桜の揺れ動く気持ちを優しく受け入れるおばあ(演:吉田妙子)、ウチナーチュとして沖縄を守ることに使命を感じ任務につく警官に青木崇高。そしてちょい悪オヤジの編集長に光石研(悪い役をやってもどこか憎めないのがこの人のいいところ)。
「怒り」で好演の佐久本宝は青木崇高の同僚役。
全5話だが毎回次の回が楽しみになる仕掛けと、テンポよい脚本・演出。
ラストで青木崇高が体を張って容疑者である米人兵を追い詰め、その熱意に応えるように上司の刑事も米軍兵の上官(ダンテ・カーヴァーが好演)も容疑者の検挙を後押しする。
しかしその後実は身近にいた日本人がもう一人のレイプ犯として逮捕される。
このアナザーストーリーはなんであるのだろう、と思ったがよくよく考えると、そういうことなのかと。つまりは脚本上、多少の米軍に対する配慮があったのだろうか。
それとも、野木亜紀子はこの作品で米軍問題だけではなく女性の人権問題も描きたかった。そのため米軍の問題としてだけレイプ事件を描きたくなかったのか、、、
いずれにしてもドラマとしての整合性と、色々と考えさせる含みを持たせた点ではよくできたラストだと感じた。
最終話のラストでキーは編集長に言う。
「これは沖縄の問題ではない、日本の問題なんだ」
そうだ、これこそ我々日本人が常に頭に叩き込んでおかないといけないことだ。
沖縄問題、という言葉こそ欺瞞なのだと。
心に残るいいドラマでした。
最後に、野木亜紀子とも縁があり沖縄出身のガッキーがなんと特別出演。
贅沢なキャストだ。。。。
相変わらず綺麗だな。。。
沖縄にはいつか行ってみたいと思う。