佐久間由衣主演の映画。原作は津村記久子の同名小説。

 

「”隠れビッチ”やってました」の頃より、更に演技の幅が広がった感がある。

また共演の奈緒は、まさにこの映画の頃からブレークしたので今や主演級の彼女が助演というのも贅沢な映画だ。

ちなみに奈緒主演といえば、今シーズンの連ドラ「あなたがしてくれなくても」は強くお勧めの一品。

 

物語は佐久間由衣演じる堀貝の私小説的なストーリーだが、彼女の不器用な生き方には共感が持てた。

自分の大学生の頃を振り返ると、堀貝よりもうちょっととんがってはいたが、他者との関係性に様々な疑問や自己への問いかけを持っていたり、なぜ自分は他人に対してこんなに理解が無いのだろう、、、と悩んだり。

自己嫌悪に陥り、どんどん周囲との距離を遠ざけてしまったりと、堀貝を見ているとなんだか学生時代が懐かしく思い出された。

 

そんな堀貝とひょんとしたことから知り合う猪乃木(奈緒)とは、その後お互いに惹かれ合い、特別な関係になっていく。

 

2時間のストーリーで様々な事件が起きるが、コンパクトにまとめられて右往左往することはない。また途中で出てくる堀貝のバイト先の後輩の安田の話はコミカルで、全体的に暗いストーリーに少し笑いを添えてくれている(佐久間由衣に「ち●こ」と連呼させるのはどうか、、だが笑)。

 

笠松将はあっという間にいなくなってしまうが非常に重要な役どころ。

また物語の最後までキーになるヨッシー役は、あの小日向文世の息子の小日向星一。

お父さんに似て味わい深いキャラクターである。

宇野祥平もほんとにちょい役。

基本的に登場人物は少ないので、物語に没頭しやすい。

 

周囲のみんなから、「お前は何にもわかっていない」と、それまで何気なく付き合っていた友人たちの抱えていた闇や苦しみを思い切り突き付けられるたび、堀貝の心はズタズタに引き裂かれていく。そして、それまで心を通わせていた猪乃木の辛い過去さえも気づけなかった自分に、とうとう泣き出してしまう。

 

そんな堀貝を優しく受け入れる猪乃木。その後の二人のラブシーンは女同士とか言うのを超えて、お互いに相手を受け入れ理解し合うことができたからこそ、だったのだろう。だからこそ、自然な流れでのベッドシーンだったと思う。

 

それにしても佐久間由衣はデビュー作の「トランジットガールズ」でも当時ブレーク前だった伊藤沙莉とのベッドシーンがあり、そういう役に縁がある役者さんなのかもしれない。

 

タイトルの意味は物語の中盤あたりで堀貝が発する言葉から引用されている。その言葉はどんな辛いことがあっても、自分が生き続ける限り不幸は永遠には続かない。だから生きろ、というメッセージが込められているのか。

 

こういう自分の人生に置き換えて自分ならどうする、と考えさせてくれる、また様々な視点で解釈できる映画は好きだ。佐久間由衣と奈緒の好演も光り、青春映画としても心に残る作品だった。

 

笠松将。好きな俳優の一人だが彼の役、穂峰に佐久間演じる堀貝が「結婚しよう!」というシーンがある。綾野剛似の彼だが、映画公開の2年後には実際に綾野剛と結婚したな。。。。