野木亜紀子脚本、塚原あゆ子演出、「アンナチュラル」のスタッフが再結成し作った刑事ドラマ。結論から言うと、「アンナチュラル」とはまた違ったテイストの、極上のエンタテインメントとなった。

コロナ感染拡大の影響を受けて11話で終わってしまったが、もっと見たいと思わせるストーリー展開に世界観。続編を見たくなる、数少ないドラマだった。

 

綾野剛と星野源のバディものだが、この二人というとやはり「コウノドリ」での共演を思い出す。

あのドラマとはキャラ設定はかなり異なるものの、二人の息の合った演技は見もの。

 

舞台は警視庁の機動捜査隊。「列島警察24時」などで一躍有名になった、初動捜査を行う部署だ。

変わらず綺麗な麻生久美子が隊長の架空の部隊「4機捜」に、野生児・伊吹こと綾野剛、捜査一課から流れて来た志摩こと星野源、刑事局長の息子の九重には岡田健史、ベテラン刑事の陣馬に橋本じゅん。

 

麻生久美子はおそらく脚本家の野木亜紀子の言いたいことを代弁する役なのだろう。

橋本じゅんのいい人役、なかなかよかった。嫌な役ばかりの人が善人を演じるのは、役者のだいご味ね。

 

「アンナチュラル」のキャストもゲスト出演し、双方のドラマを観た視聴者は楽しめる。

松重豊や大倉孝二、ずんの飯尾などなど。。。

 

捜査一課の刑事役の酒向芳は最近よく出てくるバイプレイヤー。

長身で独特の外観、なかなかの曲者役者だ。

 

キーになる役回りで黒川智花も好演。彼女を見ると谷村美月、志田未来と並んで、歳を重ねてもいつまでも可愛らしい女優さんベスト3の一人だと思う。

 

ゲスト陣も毎回様々な顔ぶれで楽しめる。

1話の平野文(うる星やつら世代にとっては、ラムちゃん。。。。年取ったなあ)、佐々木みゆ(万引き家族などで個性発揮の子役)、深水元基ら。

3話では山田杏奈が、5話で渡辺大知、6話に村上虹郎など。

 

各話の中で印象に残ったのは4話の美村里江だろうか。かつてはミムラの芸名で出ていた女優さん。昭和な佇まいが美しい美人女優で、「高橋酒造 米焼酎しろ」のCMで豆腐の入った鍋を持って佇む姿に心ときめいた。

話がだいぶ逸れてしまった。。。。

美村里江の美しさもさることながら、4話は話自体も面白かった。

ちょっと昭和の刑事ドラマ(例えば特捜最前線とか)で出てきそうなお話。

普通の幸せに背を向けて生きぬいた女の悲しいドラマ、というか。

 

最近の刑事ドラマのバディものの中では、脚本、演出、キャスト、世界観と出色の出来のドラマだ。リアリティもしっかりあり、それだけでなくエンタメ要素もがっつり。贅沢なつくりだ。

 

そしてこのドラマを締まったドラマにしてくれたのは、なんといっても久住という謎の男を演じた菅田将暉だろう。

これがまた本当に憎々しい悪役なのだが、本当に悪人にしか見えないところがすごい。

ただ、役者としての彼は実はいい人と悪人の境がわからないところに魅力があるのかもしれない。このドラマの久住という男を演じた菅田将暉を見て、そんなことを思った。

 

最終話も最後までハラハラドキドキの展開で、途中ああ、それをやってしまったか、、、という手法で騙されてしまう(あれはずるい。。。)が、それも嫌みはなくスッキリ受け入れられた。

視聴者としてみれば、そっちのパターンも観たかったし、、、、、

 

「アンナチュラル」に続いて米津玄師の主題歌もドラマにマッチ。

劇中で使われた「まるごとメロンパン号」だが、「私の家政婦ナギサさん」のラストにちょこっと出てたらしく、見てみたら確かに出ていた。

このドラマを観た時は「MIU404」は知らなかったので、当時はおそらく全然何のことやら、、、って感じだったのだろう。

こんなシーン、全然覚えてなかった。。。。。