尾野真千子は最近、40代女優さんの中ではもっとも脂が乗っているのではないだろうか。
そのすぐ下には綾瀬はるか、長澤まさみあたりがくるのだろう。
このドラマのストーリーを見た時に、真っ先に思い出したのは宮部みゆきの「火車」。
「火車」の場合は消費者金融の闇に飲み込まれていく人々の物語だったが、社会から見捨てられた人が、もがき苦しみながら生きていくという点で共通点を感じた。
だが実際の話はより犯罪サスペンスよりの物語。
冒頭から、あまりに可哀そうな主人公の鈴木陽子(尾野真千子)の人生が映し出される。
どこにでもある普通の家庭に潜む悲しい現実。
人生を生きていくうえで、家庭、親というものがどれだけ大切であるかということを思う。
真面目で誠実な人間ほど生きづらい社会。
一生懸命生きようとするほど、幸せが遠くに逃げていく世の中。
そんなこの時代の片隅で、誰にも気づかれることなく朽ち果てていく悔しさ。
どれだけこの世に陽子のような人がいるのだろうか。
尾野真千子はこういった何かを背負って生きている人物を演じるのが非常に上手い。
そして、弱い立場に付け込み悪事を成そうとする男・神代に安田顕。
安田顕の何を考えているかわからない得体のしれない凄みが、神代という男の闇の深さを増幅させる。
ただこの神代という男も陽子と同じ、居場所が無かった男なのかもしれない。
冒頭の祭りの屋台のシーンで幼かった陽子に語り掛け、そして大人になった陽子を偶然再会し、惹かれていくのも二人が似たもの同士だったからなのか。
陽子は壮絶な人生に翻弄されながら、やがて自分の力で生きる道を切り開いていく。
しかし、たどり着いた場所に自分の居場所はなかった。
もがき苦しみ生き抜いた結果、自分はずっと誰かに自分を見つけてほしかったのだということに気づく。
もっと早く陽子を家庭が、社会が救ってやれなかったのか。。。。
というモヤモヤだけが残ってしまうラスト。
スッキリ感はないが、心に重くのしかかるテーマだった。
陽子の母親役の麻生祐未がさすがの存在感で、こういう役をやる年になったのだ、、、と感慨深い。どうしても「窓際太郎の事件簿」の椿薫役のイメージが、、、笑
このドラマ序盤の、タイトルにもなっている「絶叫」シーンは素晴らしかった。
小西真奈美、前川泰之、酒井若菜、要潤(最近嫌な役が多い?)、片桐仁らが共演。
Wikipediaのキャスト紹介情報が薄いが、最近時ドラマフリークになってしまったMATTは、顔を見ただけで大体の有名な役者の名前はわかってしまう。。。。笑
黒田大輔、小林涼子、六角慎司、濱津隆之らがちょい役で出演。
これまで保険金絡みの犯罪で検挙されず、闇に消えていった事案がたくさんあるのだろう。
そしてそれらのどれもに、語られない悲しいドラマがあるのかもしれない。