映画などの制作現場を舞台として描いた作品は、先日観た「全裸監督」や、「カメラを止めるな!」などがある。
この「ハケンアニメ!」も同様でこちらはアニメの制作現場が舞台だ。
ちなみにハケンアニメのハケンとは、「派遣」ではなく「覇権」という意味。
正直な感想を言うと、この作品、連続ドラマでやってほしかった。
2時間弱の映画に収めるには、あまりに展開が性急すぎて登場人物に十分に感情移入ができなかった。原作は読んでいないがおそらく、アニメを作る人たちの熱い、熱すぎるほどの思いが詰まった小説なんだろうと思うと少し残念だ。
それでもアニメ制作に懸ける人たちの熱意は存分に感じられる作品にはなっている。
本作を見ようと思ったのは、「カルテット」で衝撃デビューした吉岡里帆を見たかったから。
残念ながらその後の吉岡はいくつか主演を張るものの、これといった作品がない。
容姿は一級品なのだから、あとは演技といい作品に恵まれればと思うのだが、、、
この映画での彼女は、そんな心配を少し解消してくれる演技で魅せてくれた。
吉岡演じる主人公の瞳は恵まれない幼少期を過ごし、少女らしさ、子供らしさとは縁遠い人生を歩んできた。
そんな彼女が中村倫也演じる王子千晴のアニメ作品を見て、自分の幼少期にこんな作品に出合っていたら人生も違っていたかも、、、と思い立ち、アニメ制作の現場に飛び込んでいくという話。
リア充とは程遠く奥手で人との交流も苦手、という瞳を吉岡里帆が熱演。
表情のつくり方、感情の発露など瞳というキャラクターを演じ切っているのを見て、彼女も女優としての居場所をやっと見つけることができたのかも、と感じた。
この作品の後に出演した「ガンニバル」でも、柳楽優弥の妻役で、気丈で強気な女性を好演している。
今後の彼女の女優としての飛躍を期待したい。
中村倫也に尾野真千子、柄本佑に小野花梨といいキャスティング。
また脇も工藤明日香、古舘完治、前野朋哉、矢柴敏弘、六角精児、徳井優とそれぞれの配役がハマっている。
特に最近、尾野真千子が非常に良い。
歳を重ねて40代になってきて、女優としての脂が乗ってきたなと思う。
若いころから演技力は確かだったが、そこに年輪というか厚みが加わったかような。
この映画でもキャリアウーマンの役ではあるが、オンナとしての魅力も持ちつつ仕事に没頭する、その色気がすごい。
池脇千鶴と並んで、これからが楽しみなアラフォー女優だ。
敏腕プロデューサー役の尾野真千子。
ビシッとした役も、グダグダの役もできるそのGAPが素敵。