2015年 1シリーズ、2017年 2シリーズの計21話。

産婦人科が舞台のドラマは昔からあるようだが、ここ10年ではこの「コウノドリ」シリーズと、2018年の「透明なゆりかご」が代表的。

 

「透明なゆりかご」はドラマ史上に残る名作と思うが、その3年前に作られたこのドラマも、タイプは違うが様々な問題を提起し、視聴者に考える余地を与えてくれるという意味では、作り手の熱意が感じられるよいドラマだ。

 

土村芳がゲストで出ているから、という理由で見始めた。

シリーズ1の1話は、清水富美加(好きな女優さんだったが、、、、)の熱演で始まり、かなりぐっと引き込まれるも、ジャズピアニストと2足の草鞋、、、という設定に、もしかして軽いノリのドラマだったらどうしようか、、、、、と不安が。

 

だがそんな不安も回を重ねるごとに、様々なケースのお産を個性あふれるゲスト俳優たちが競演することで魅せてくれ、ドラマ自体も真面目な作りで最終話まで集中して観ることができた。

 

綾野剛はこのドラマが初主演。

それまでの少しアウトローな役のイメージを払拭し、柔和な雰囲気とその裏にある少し暗い過去を持つ、懐の深い産婦人科医を好演している。

 

メインキャストに松岡茉優、吉田羊、坂口健太郎、星野源、大森南朋に当時売り出し中だった、清野菜名。

松岡茉優はまだこの時まだ20歳。(清野菜名も同い年)

体全体で感情を表現する演技は、このころから変わらず。

シーズン1,2を通し成長していく若き産婦人科医を熱演。

 

更に山口紗耶香、浅野和之、平山祐介、小林きな子、江口のり子といった個性派俳優がキャストされていて、なかなかよい。

 

だがこのドラマ、特筆すべきは毎回のゲスト陣の豪華さ。

主役級、準主役級の役者さん、特に女優さんがバラエティに富んで素晴らしい。

ベテランから若手までいい女優さんが目白押し。

やはり妊婦の役が多くなることから、女優さんも気合が入るのだろうか。

全て書きだすと、ただ俳優さんの名前を羅列するだけになるほどなので割愛するが。。。

 

個人的には、1話の清水富美加、4話の山口まゆ、6話の森口瑤子、7話の南沢奈央、8話の谷村美月のそれぞれの女優さんの演技は印象深かった。

 

「透明なゆりかご」でも痛感したが、出産というのはまさに奇跡。

安全なお産などはない。常に妊婦は危険にさらされながら子供を産む。

その事実をあまりに男は知らなすぎる。

産む時だけではない、出産の前後に妊婦に起こる様々な不安、変化に男は全く気づかず、時に的外れなことを言って妊婦を傷つけたり。。。

このドラマでも全編を通じてそれらを気づかされる。

 

小栗旬演じるシングルファーザーの葛藤、妊婦とその夫の間にある埋まらない意識のGAP、働く女性の出産、育児の難しさ、不妊治療とその理解、妊婦や子供を持つ母親に対して冷たい社会。。。

 

綾野剛演じる鴻鳥サクラは、優しい眼差しと、時には厳しい判断で、これら難題に全身全霊で取り組んでいく。

劇中で医師たちが「決断したことに対する正解などはない」と語るシーンがあるが、日々、患者の人生を左右する難しい決断をせざるを得ない環境で激務についている、現場スタッフの皆さんには敬意を表したい。

 

そして何より子供を産むという奇跡を、自分の人生を賭けて守ろうとするすべての妊婦にも同じく尊敬の念を禁じ得ない。

あらためて自分の過去を振り返り、出産というものをわかっていなかった、考えることがなかったということを恥じたい。

 

シーズン1視聴終了後、すぐにシーズン2に移って2話まで鑑賞。

1話の志田未来・泉澤祐希のろう者夫婦の出産は、とても興味深いケースだった。

2話で土村芳と福士誠治の夫婦のケースは、妊婦が子宮頸がんを患っているというケース。

ここでも妊婦の命と子供の命がてんぴんにかけられそうになるところを、医師たちがどう判断し、対処していくかなど、じっくりと考えさせられる展開に、シーズン2もぐいぐい引き込まれていく。

 

土村芳はこの前年に「べっぴんさん」で注目され、本作出演以降で活躍の場が増える。

見事に妊婦を演じ切っていて、彼女の確かな演技力にまた感動。

確かな演技力、昭和顔で地味だがどんな役も確実にこなす実力派の土村芳。

 

ちなみにシーズン1の5話ではクレジットされないちょい役で出演(アップもないのでほぼ気づかず。。。。笑)。お試し出演だったのだろうか。

シーズン1の第5話のワンカット。これだけではまったくわからん。

しかも彼女、このシーンで茨城から来た設定なのになぜか関西弁をしゃべってるし、、、

 

 

シーズン2も3話以降、またいい役者さんが目白押しだし、どんなケースが起こるのか楽しみ。出産を扱うドラマはどうしてもウルウルしてしまう。

(まだ早いとはいえ)孫ができてもおかしくない歳が近づいてくると、赤ちゃんを抱っこする機会がもう一度あれば、、、、と思ったりする自分がいたりする。。。。