こういう作品を待っていた。
Disney+で全世界配信される作品。
Netflixも同じく日本という枠を超えて世界に発信される作品を作っているけど、そのNetflixをDisney+は最近猛烈に追い上げているらしい。
人里離れた山村、時代遅れの古い因習、謎多き一族、閉鎖的で狂信的な村人たち、恐るべき秘密・・・・・
横溝正史マニアのMATTには、もうこれだけで満足。
そして、映像、演出、役者、音楽、かなりの完成度で、海外の視聴者に訴えるには十分、神秘的な空気を存分に漂わせている。オープニングも素晴らしい。
何より、柳楽優弥の演技がすさまじい。
コメディからハードな作品まで実にものすごい集中力と役作りをする演者。
この作品では一線を超えると人殺しも厭わない、ある意味狂気を秘めた役。
もともと鋭い目つきが、更に強烈な印象を与える。
ダーティな言葉遣いに、挑戦的な態度。一方で心を許した相手には優しい面も見せる。
そんな魅力的な男、阿川をリアルに演じる彼を見て、完璧主義の名優ロバート・デ・ニーロを重ね合わせる人もいるのではないかと思う。
このドラマでまた彼のことを好きになった。
妻の有希役に吉岡里帆。
彼女は「カルテット」のちょっとヤバい女役で一躍有名になったのだが、その後あまり伸びずすっかり影が薄くなっていた。
ただ「世にも奇妙な物語 ’17秋の特別編」をたまたま見た時に、かなりよい演技をしていたので、この子いいなと思ったのを覚えている。
今回の有希役、とてもよかった。
直情径行で危うい夫・阿川を、強気に操縦して支える強い妻役をしっかり演じていて好感が持てた。これまで可愛い感じの役が多かったが、生活感のある子持ちの人妻役が妙にはまっていて、彼女の女優としての幅が広がったかなと感じた。
もしかすると、歳を重ねたほうが魅力的になるかもしれない、と思い期待している。
後藤家や村人役のキャストも素晴らしい。
後藤家の笠松将、酒向芳、倍賞美津子(怖い!)、六角精児(強面役は、ナニワ金融道の元木役以来?)、村人役の中村梅雀(さすが上手いよねえ、この人)、山下リオ、高杉真宙。
警察関係は、利重剛、矢柴俊博、北香那と申し分ない。
7話まで息が詰まるほどの閉塞感と緊張感が持続する。
MATTは母親の実家が古い大きな家だったので、後藤家の佇まい、よそ者を受け付けない、村のあのなんともよどんだ感じが、妙にリアルに感じてしまう。
空気感や匂いまで感じられるほどだ。
最高の舞台に最高のプロット、役者。
柳楽優弥のアクションもキレがあり、かっこよい。
高杉真宙演じる顔を喰われた男、寺山のマスク、「犬神家の一族」の青沼静馬をつい思い出してしまう。あっちはフルフェイス(笑)だが、、、、
一気にクライマックスの7話まで行ったと思ったら、なんともあっけなく、かつ尻切れトンボのように終わってしまった。
だがこのドラマ、たぶんシーズン2があるのだろう。原作で言うと全13巻のうち今回は6巻までの話だそうで、これは続編が期待できる。
全ての謎が明かされて、阿川は、有希と娘の行方は。。。
などなど次回作を期待したい。
村と言えば、昔かみさんと付き合っていたころ(25年以上前)、茨城の田舎道を走っていたら、葬式を執り行っている人たちに遭遇した。
びっくりしたのは、棺を担ぐ人とその前後に歩いている人たち全員が、いわゆる白装束で頭に三角頭巾をしていた。全員、お岩さんコスプレ。。。。。
1990年代後半のことだが、まだそういう風習が残っていることにびっくらこいたなあ。。。
吉岡里穂。今年30歳。
20代の頃より魅力的になったと思う。30代の彼女に期待だ。