山田杏奈のドラマ初主演作品。

 

それにしても、何度も書いてしまうがなぜ彼女はこんな不幸な役ばかりなのだろうか。

そういう雰囲気を醸し出しているのは間違いない。。。。

 

少女を誘拐し監禁(軟禁)する、というプロットは現実世界でも過去に大きな事件が何度も起きているため、テレビ朝日は買取・放送を見送り、結果関東はネット配信、関西は朝日放送が放映したという曰く付き作品。

最近では問題作「エルピス」がやはりキー局で制作見送り、関西テレビが放送してヒットしたのが記憶に新しい。

 

関西地方のTVは面白い。

それはこの現代においても、忖度なく本音を流すことができるからではないだろうか。

このドラマもそんな関西メディアの文化的成熟に助けられたのかもしれない。

 

家では虐待を受け、学校ではイジメに遭い居場所がなく彷徨う主人公の少女。

本名は一切語られない。

そして、不遇な少年時代を過ごし、こちらも居場所が無く死を望んでいる男。

 

二人はひょんなことから知り合い、そして男は少女と暮らすことになる。

未成年者の場合、たとえ本人が合意したとしても親の承諾なしに連れ出すと、略取・誘拐罪に問われることになる。

 

死を臨む少女と死にたいが死にきれない男の、奇妙な共同生活が始まる。

一緒に暮らす二人の間に愛は無い。

死ぬまでの間、これまで経験することの叶わなかった自由と幸せを享受したい少女。

死ぬことができないのなら、少女に幸せを味合わせてあげ、そのためなら死ねると覚悟する男。

 

極めて文学的な作品で、最初思っていたのと違う展開だったためついつい最後まで観てしまった。

男(劇中ではお兄さん、と呼ばれている)役は上杉柊平。

ずっとマスクをしていて、結局顔がわからんまま終わるのか、と思いきや最後の最後にまさかの顔出し。それにしても、10話ずっとマスクしっぱなしってひどくない?笑

仮にも役者なのに、ずっと顔にモザイクかかっているようなもの。。。

原作漫画の世界観を大切にした結果なのだろうけど。

 

少女・幸(さち)を演じる山田杏奈は、初々しさが残る(当時18歳)ものの、しっかりした演技で好感が持てる。このドラマの半年前くらいに問題作「ミスミソウ」で主演を張った。

あの死を覚悟した鋭い眼差しそのままに、このドラマでも「眼」で演技している。

最終話、毒親の前で虐待の事実を言葉にできず、唇を震わせるシーンは素晴らしい演技だったと思う。

 

その最終話は、幸の毒親役の雛形あきこ、清水伸(ニトリのNクールなどの宣伝でおなじみ)とお兄さん、幸の4人のやり取りが秀逸。

雛形あきこのクズぶり、清水伸の冷徹で血も通わぬ父親ぶりが見事。

 

木下ほうかと女性刑事が出てくるが、少々嘘くさいというか、もうちょっと絡み方に工夫が欲しかった。あと主題歌が全然ドラマの世界観にあっていない気がしたが。。。

このドラマにはもう少し二人の生きる世界を優しく見つめるような曲をあててほしかった。

例えるなら「高校教師」の「ぼくたちの失敗」(森田童子)のような・・・・・・

 

タイトルの「幸色のワンルーム」とは、この世の誰にも受け入れてもらえなくなった幸が唯一見つけた生きるための居場所。

そういう切ない意味が込められているのだ。

 

幸に性的虐待を加える変態ロリコン教師役の戸塚純貴。

マジで気持ち悪かったので、かなりの好演でした。