2018年の作品で、当時まだ駆け出しの森七菜が結構重要な役で出ている、というので選んで観てみた。
全然知らなかったのだが、スクールロイヤー制度は日本でも2018年ころから導入する学校が全国で増えているということだそうだ。
80年代頃から日本の学校は様々な問題を抱えてきたが、一つの対応策と期待されている。
1話30分弱の6話と短いが、さすがスポンサーへの忖度の無いNHK、コンパクトに破綻なくまとめていてさすが。
意外にハードボイルドな展開で、一つ一つの事件について考えさせられ、自分ならどう考え行動するかということを提示してくる。NHKらしいドラマ作りだ。
固く重いテーマではあるが、全体的には最近のドラマらしく肩の力を抜いて観られる。
主演の神木隆之介はやはり天才的な役者だ。
若さゆえの青さで突き進みながらも、自らの弱さをちゃんと見つめ乗り越えようとするひたむきさを熱演している。
彼の演技、好き嫌いあるかもしれないがここまで役に没頭できる役者さんはそうはいないので好きな役者だ。
生徒思いで熱心な教師・三浦(田辺誠一)とのやり取りは見ごたえあり。
森七菜演じるいじめにあって自殺未遂する女生徒の話が、このドラマの盛り上がりポイント。
今の学校は極めて日本人らしさが凝縮された場所になっている。
誰かに決めてもらいたい、役割・責任を持っている人がちゃんとやるべし、学校はこれをやる、親はこれをやる、という明確な線引き。
それらがすべて無責任という空気を生み、責任の押し付け合いになっていく。
そして誰も当事者でない学校という組織ができあがる。
当時まだ17歳の森七菜。
セリフも少ないながら、その演技力で存在感はこのころからあったよう。
神木隆之介演じる田口が辛辣に投げつける言葉は、すべて的を得ている。
だが、それらを無責任な人たちに伝えるにはとことんまで進んでいくしかない。
森七菜演じる生徒と田口の二人、そして三浦の強い意思がそれを実現していく。
ふと思い返すのは中学、高校と全然先生の言う事聞かなかったし、学校生活にも非協力的だった。無関心、無責任というどうしようもない生徒だった。
けど、先生たちは自分たちのために一生懸命頑張っていたんだろう。
遅まきながら心から感謝したいと思った。
南果歩の弁護士役はよかった。
久しぶりに見たけどシャキッとしていて昔から好きな女優さん。
あと、岸井ゆきのはあまり観るドラマに出てこないのでこれまで彼女の演技は見れなかった。
演技巧者の揃うユマニテ所属、いい女優さんだと感じた。