「ちょこっと京都に住んでみた」「ミヤコが京都にやって来た!」と、最近京都の魅力を色々な角度で描くドラマが多くなっている。

 

本作は漫画原作だが、舞妓さんの世界を通して京都の魅力を伝えているドラマだ。

NETFLIX作品ということで、日本のみならず世界へ発信することを前提に制作されているということが、オープニングや絵作りでよくわかる。

 

是枝裕和監督というのも、観たくなるポイント。

そしてもう一つは色々あったが再出発し、最近徐々に活躍の機会が出てきている森七菜が主演ということ。

 

このドラマは悪い人は出てこない、事件は起こらない。

なので安心して観ることができる。久しぶりにホッコリ心が温まるドラマを観た。

 

最近森七菜の演技を見ていて、なぜ彼女が魅力ある女優なのかがだんだんわかってきた。

明るく元気いっぱいの役が似合う彼女だが、どこか憂えた表情も併せ持っていて、時にそこはかとない哀愁を漂わせることができる。

そのアンビバレントなところが、危うさや脆さを感じさせるのだ。

もっと彼女の色々な演技を見たくなった。

 

今回彼女とWヒロインを務めたのは出口夏希という森七菜と同級生の女優さん。

MATTの見たドラマでは「アンサングシンデレラ」や「スイッチ」「ガールガン・レディ」に出ていたが、どれも端役。まだそんなに出演経験無いので、大抜擢だ。

鼻筋の通った、とても顔立ちの整った美少女なので、舞妓さんの化粧が良く似合う。

華のある女優さんだ。

 

是枝作品らしく、料理や食卓、台所のシーンが非常に丁寧に描かれ、京都の街や人々の生活も映画クオリティの映像で美しい。

何より色彩豊かな舞妓さんの世界が、これでもかというくらい堪能できるのが素晴らしい。

 

一時期舞妓さんの業界の暴露話が話題となり、やれブラックだ人権侵害だという騒ぎがあった。それらは事実なのかもしれないが、そういった歴史も含め脈々と受け継がれてきた文化にどうしても興味は尽きない。

一見さんお断りなのでいつかお座敷に連れて行ってもらいたいなあ、、、、と粋な大人の世界に憧れてしまう。

男のロマンがそこにあるからかもしれない。。。。

 

以前も書いたけどほんまもんの京都弁を喋る役者さんがそろわないのは残念だ。

致し方ないのだろうけど、松坂慶子、常盤貴子、戸田恵子、福地桃子、そして橋本愛、松岡茉優と女優陣は豪華だ。松岡茉優は珍しく色物役だが、彼女はなんでもこなせるね。

橋本愛との「あまちゃん」コンビでの演技はちょっと嬉しいかも。

また注目の若手、蒔田彩珠はもう少し出番が欲しかった。

 

井浦新、森崎ウィン、リリー・フランキーといい役者に加え、古舘完治に北村有起哉という性格俳優が脇を固める。

 

森七菜は舞妓になることができず、まかないをやることになった。

人間にとって何かを成し遂げることは大事だが、それができなかったからといってすべてがダメになるわけではない。

大事なのは「居場所があること」。

森七菜演じるキヨは、舞妓にはなれなかったが自分の居場所を屋形で見つけることができた。それこそが幸せなのだ。

生き生きと自分の仕事を全うするキヨの生き方はとても魅力的だ。

そんなキヨを全身使って演じている森七菜が素晴らしい。

 

最後に、このドラマのオープニング・エンディングテーマは森七菜のスキャットが心地よい、耳に残るメロディ。オープニングの静かに始まるテーマ、エンディングのAメロ、Bメロの後のサビに続く盛り上がりなど、なかなかよくできている。

このドラマの世界観にぴったりで、耳に残る名曲として「あまちゃん」のオープニングテーマに匹敵すると思った。

 

映像、音楽、世界観などバランスのよい良作で、世界中の人に観てもらいたいドラマだ。

 

出口夏希と森七菜。

出口夏希は、演技どうこうより透明感ある美少女ぶりが彼女の武器。

今後どんな女優さんになっていくのだろうか。