アニメ版は一昨年に観て、感動し号泣。

こうの史代の原作漫画も買っていまい、大好きな作品になった。

 

原作者が書いている通り、戦時下で普通に生活し生きていた人たちの人生を描いたこの作品、観れば観るほど味わい深い作品だ。

 

素晴らしいと思うのは、戦争と言うものを一元的に捉えず、その時代の人たちが何を想い、何に悩み、必死に生き抜こうとしていたか、を描いている点だ。

主人公のすずは、戦争に負けて悔しいと叫ぶ。

日清戦争も、日露戦争も負けなかった日本が負けた、そしてその陰でたくさんの愛すべき人が死んでいった。だから勝てなくて悔しい。なぜ最後まで戦わないのか。

ここで負けを受け入れたら死んでいったものはどうなるのか。

生き残ってしまった自分たちへの負い目だけではないのだろう。

複雑な、ものすごく複雑なものを腹にためて生きていく。

そういったところに光を当てた戦争作品は無かったと思う。

 

以前書いた通り、アニメ版はのんのアテレコが素晴らしかった。

原作のすずのイメージ通りの柔らかな声。のんの役者としての才能が生きた役だったと思う。

漫画、アニメはほのぼのしたイメージの中に、戦争の残酷さ、無常さが書かれるので心に突き刺さる。

実写になったらどうかなあ、、、と恐る恐る観たのだけど、役者さんたちの好演もあり原作の良いところを生かして良いドラマになっていたと思う。岡田恵和の脚本も良かったのかもしれない。

 

主演の松本穂香はすずのボーっとしたイメージをよく表現していた。

のんにやってもらいたかったとも思ったが、松本穂香で良かったと思う。

松坂桃李の秀作も原作のイメージを壊さなかった。

 

共演者もよいキャスティングだ。

昭和の女性、ということで仙道敦子、伊藤沙莉、伊藤蘭、尾野真千子、そして土村芳と、違和感のない女優さんをそろえた。昨今、昭和の日本人女性を演じることのできる女優さんは意外に少ないかもしれない。川栄梨奈とかもいい線行っていると思う。

久保田沙友はすずの妹役のすみ役で出演。なかなか好演でした。

尾野真千子はちょっと意地悪な役が上手いね。将来そういうポジション狙っているのだろうか。。。

 

塩見三省(この間お亡くなりに・・・・)、宮本信子など、この時代のおじいちゃん、おばあちゃんを演じる人もだんだん少なくなっていく。寂しい限りである。

 

土村芳はこのドラマでは端役ながら、いつも通りとてもよい演技をしていたと思う。

やはり彼女は今回のように優しい役が多いので、今年はぜひ違った役柄も見てみたい。

 

伊藤沙莉と並ぶと昭和感が半端ない。。。。笑

ちなみに土村芳のだんな役は毎熊克哉でした(ちょっとしか出ず)。

 

それにしてもアニメでも漫画でもドラマでも、晴美ちゃんとすずが爆発に巻き込まれるところで結局泣いてしまう。。。。色々感動場面の多いこの作品の中であそこはほんとに悲しい。

 

最後に、白木リン役の二階堂ふみが本当によかったのだけど、それは別の機会に。。。。

 

広島に行きたくなったなあ。。。。。