こういう映画ってなんで作られるのだろう、と思う事がある。
佐藤泰志という夭逝の作家の唯一の長編を映画化。
しかし、その内容はとても切なく、暗く、やるせない。
生きることが辛くなるような映画を、わざわざ見なくとも、、、とも思う。
しかし、役者目線だと少し違った評価になる。
2014年のこの作品、当時20代だった綾野剛、菅田将暉、そして30代の池脇千鶴の体を張った、役者としての意地を見せつける演技で応えた映画だ。
表現者としてこういった映画の存在は貴重である。
それこそ自分が体験したことのない悲しみや憎しみ、苦しみをどう表現するか、試されることになるし、成長のために必要な作品だと思う。
そして、この映画で主役を張った3人は若いながらも、人が生きるという営みを全身で表現していて見ごたえあった。
池脇千鶴はずっと好きな女優さんなのだが、この映画では濡れ場もヌードもすべて出し切っている。当時33歳。
今の同年齢の女優さんでここまでできる人は思いつかない。
でも、そういう女優さんこそ長く、活躍できるのだ。
田中裕子しかり、人間の生きる様を演じることができる女優さんとして、今後も追いかけていきたい。