清原果耶が16歳の時に初主演したドラマ。
NHKらしく堅実で丁寧な良質な一品。
最近、涙腺がゆるいのかこのドラマも後半の話はほとんど泣いていた気がする。
特に9,10話はたまらない。
清原果耶の役者としてのすばらしさは別途書くとして、この作品で彼女を起用したNHKに感謝したい。彼女が本当にピュアな演技ができる年齢の時に、こういったいい原作、脚本、そしてスタッフで作品を残せたからだ。
原作は産婦人科が舞台で原作者のバイト経験をもとに書かれているという。
ドラマを観ていると途中で気づくが、主人公は少し発達障害っぽい。実は原作者がそうで、そのために独特な視点で世の中を眺めて来たからこそ、この作品がある。
海辺の個人経営の産婦人科に、清原果耶演じる女子高生のアオイが実習に来るところから物語は始まる。
院長先生に瀬戸康史(このキャスティングも素晴らしい)、婦長に原田美枝子、同僚に水上あさみ、野村真純と実力派で固めたキャスティング。時代背景が1990年代後半のため、まだ「看護婦さん」と呼ばれ、ナース服もスカート、戴帽(ナースキャップ)も被っている。
ちなみに今のように男女問わず「看護師さん」と呼ばれるようになったのは、2001年の法改正から、ナースキャップの廃止が多くなったのは2007年ころからだとか。
予定調和的なストーリーは無く、毎回リアルで衝撃的な話に考えさせられる。
4話は出産直後の母親が急死するという話だった。自分も含め男は出産が危険なものであると気づいていない。
ほとんどの出産は無事に処置されるからだ。しかしそれが当たり前と思ってはいけないということを、この回では教えてくれた。
シングルマザー、育児ノイローゼ、中絶、性的虐待、病気を持って生まれてくる子など、毎回重いテーマで視聴者に問いかけてくる。そのたびに本当に正しい判断はなんなのだろう、と考える。
だが、出産というのは極めて個人的な問題だ。
劇中、瀬戸演じる由比も悩む夫婦に対し、周囲が何と言おうと二人で決めることが大事だ、と伝える。
新しい命を授かるというのは尊いことだ。その意味を受け止めしっかりと考えるということの大切さをこの作品は訴えている。
ドラマはこういった産婦人科での出来事とともに、アオイとその母(酒井若菜が好演)の母娘の葛藤も見どころだ。
二人の母娘関係の再構築の過程、子育てに悩む母親にとって救いになるのではと思った。
出産というものの正体を男は永遠に理解できない。
だからこそ神秘的なもの、と片づけないで奥さんと一緒になって向き合うことが大切なのだろう。自分がそれができていた、とは思えない。もっと早く知るべきだったとこのドラマを観て感じた。
酒井若菜のほかにも、よい役者さんが体当たりで好演しドラマを盛り上げている。
安藤玉恵、マイコ(妻夫木聡の妻)と葉山奨之の夫婦、平岩紙、田畑智子、原田夏希、柄本時生、そしてイッセー尾形とよい役者さんがそろった。
淵上泰史くんもちょい役で出演。
なかでも2話の蒔田彩珠は同年代の清原果耶に負けない熱演。「anone」や「妻小学生になる」などでも好演し、この人も若手注目株の女優さん。
6話のモトーラ世里奈、7話の片山友希、9話の子役の根本真陽も、将来楽しみな女優さんだ。
蒔田彩珠。
「おかえりモネ」では清原果耶と姉妹役。しかし本ドラマでは激しく対立する関係に。。。
次に来るのは彼女だろうか、、、
でも最終話の鈴木杏(最近渋い役が多い)と金井勇太の夫婦には泣かされたな。
45分の間ずっと泣きっぱなしだった。この演技にはさすがの清原果耶もちょっと圧されても仕方ないね・・・
今年もあと数日、観られるドラマ、映画も数少なくなってきたけど、間違いなく心に残る作品となったことは確か。全ての年代の人に観てもらいたい一品だ。
最後に。水上あさみを久しぶりにドラマで観たけど、変わらずにきれいでいい女優さんになっていた。
追記
CHARAの主題歌が、またとてもいいのよね、、、