こういうドラマ、好きだ。
心に残る一品となった。
今、人気の作家「燃え殻」のエッセイがベース。
「燃え殻」といえば、先日見た「あなたに聴かせたい歌があるんだ」の原作者。
阿部ちゃんは「TRICK」「結婚できない男」などのコミカルなキャラでこそ、彼の持ち味が発揮できると思い、刑事役などシリアスな役はあまり好きではなかった。
だが、この作品での阿部ちゃんはコミカルさは抑え、穏やかで優しい、しかしどこかハードボイルドな男を演じている。決してかっこよく演じているわけではないのに、たまらなくかっこいい。
尾野真千子は歳を重ねて色気が出てきた。
このドラマで演じたミステリアスな役柄は、彼女の陰の部分を引き立てるような配役でベストなキャスティングだったと思う。
この二人の大人の恋が、記憶の糸をたどるように静かな日常とともに綴られていく。
タイトルからも連想できるが、「記憶」がキーワードになって、色々な場面で語られる。
人の記憶ほどいい加減なものはない。
しかし、意外に人は自分の記憶を信じている。他人の記憶は信用しないが、自分の記憶はなぜか信じている。
自分の記憶も、他人の記憶と同様に頼りなくよりどころのないもののはずなのに。
忘れてしまったほうがいいこともあれば、覚えていたいこともある。
でもなぜか、記憶は思わぬところから蘇ったり、どうでもいいことを鮮明に覚えていたりする。
それはとても不安定で、危うい。
阿部寛演じる主人公のセンセイ(人気作家)は、突然姿を消した尾野真千子とやっと再会するが、最終的には別れを告げられてしまう。
なんとも不条理な結末ではあるが、そんな不思議な感覚の一品。
こういうドラマを待っていたような気がする。
BAR「灯台」
こういうBARが近くにあったら、通うなあ。。。。。
俳優陣は、宮藤官九郎や渡辺大知、酒井美紀、大島優子らが好演。
草笛光子は阿部ちゃんとは「結婚できない男」でも共演。
若手女優では鳴海唯が印象に残った。
ラストではゲストミュージシャンがBARで生演奏を行うが、2話(三浦透子)、9話(奇妙礼太郎)、10話(CHARA)がよかったね。
中でも女優の三浦透子の歌は、女優業だけでなく歌手でも才能豊かなだけあってさすがだ。
彼女については後程書きたい。
この歌、すごくいい。最高です。