坂元裕二脚本ドラマを一気見しているが、この作品は社会性とエンターテインメント性が程よくバランスされた、秀作という感想。

 

テーマは日本の男社会での女性性の絶望的な扱いであり、その他もろもろの差別。

(ちなみに安田顕のゲイ役は秀逸)

それを絶妙な脚本と演出、そして確かな俳優陣で素晴らしい一作にしあげている。

毎度、坂元裕二の脚本には新たな楽しみを与えてもらっている。

 

導入部からぐっと引き込まれる演出。

都会のど真ん中の雑居ビルの屋上、朽ち果てた店舗、一癖も二癖もある人々の登場、そしてにわかには何が始まっているのかわからないという状況。。。

このドキドキ感は、その後ストーリーが動き出しても変わらず続いていく。

その疾走感と、展開の速さについつい連続で見てしまい、あっという間に最終回まで到達してしまう。

 

いつものごとく脇にいたるまで贅沢なキャストだが、特に二階堂ふみ、松岡茉優、高畑充希、そして菅田将暉がそろいもそろって配役されているのは、今思えばすごい(放映は2015年)。そして、これら主役級の人たちが当時はフレッシュな存在で、でもさすがの実力でそろいもそろって名演を果たしている。

 

真木よう子は、男社会の中で孤軍奮闘し闘う女性を演じているが決して男勝りでないところがいい。江角マキコや天海祐希らと違い、弱さを見せながらボロボロになって戦う姿は、男が嫌う「頭の良い強い女像」とは程遠い。

夢と信念を持って仕事をするのは、男も女も一緒だと言っているようだ。

 

杉本哲太や吹越満、田山涼成らのクズぶりがかなりデフォルメされて描かれているが、このくらいの表現にしないと、男たちには気づかれないのだろうか。

劇中、真木よう子と東出昌大が語る場面がいくつかあるが、東出昌大は男性代表としての意見を言わされているように思える。

男の視点はいつまで経っても女の視点にはならない。永遠に。

だからこそ、分かり合うことが大事。

 

そしてドラマはわかりあった部分と、永遠に分かり合えない部分を残して終わる。

これは男性-女性間だけではなく、人間-人間の間の関係性も同じく。

そこが坂元ドラマの良いところかもしれない。

ラスト付近で、真木よう子演じるたま子が夢を見る。

それは、憎しみの対象だった杉本哲太演じる社長やもろもろの人々も一緒に、楽しくレストランを切り盛りするというものだった。

その夢こそたま子の望んだものであり、人生懸けてでも手に入れたかったものなのだ。

ドラマ自体はそこで終わってくれてもよかったんだけどね。。。。

 

ちなみに6話(だったかな)で二階堂、松岡、高畑の3人がそろって買い物に行き、公園でお茶する場面があるが、なんと贅沢なショットだろうか。

仲の良くなかった3人が一緒に冬の木漏れ日あふれる公園でお茶。。。

美少女3人の奇跡的フォトジェニックなシーンです。