こういう余韻を残して、観客に解釈をゆだねるタイプの映画に、ああだ、こうだと評論めいたことを言うのはよそう。

 

綿矢りさの原作小説は読んだことなないけど、予備知識として大体の方向性は理解していたつもりだ。

 

この映画ももちろん、山田杏奈が出ているので観たわけだが、もう一人芋生悠も出ていたのはラッキーだった。

若いのになんとなくアンニュイな、気だるい、フランス女優のような雰囲気を持つ彼女。

独特のエロスを感じさせる彼女は、今密かに注目している女優さん。

とりわけ個性派の山田杏奈と芋生悠の共演というだけで、この映画は十分に見る価値がある。

 

正直、男には心から共感できないのが綿矢りさの描く世界ではないだろうか。

逆に言えば、それだけ女性の心理を鋭く抉り出して描くことが上手い作家さんなのだと思う。

その綿矢りさのファンという女性監督が撮ったのだから、そりゃあもうドロドロ、、、、笑

 

だが、山田杏奈演じる主人公の愛の孤独は理解できる。

人間、どうしようもない孤独に陥った時こそ、暴力的な愛に走るのかも。

それはナイフのように鋭く、ガラスのように脆い。

たとえ という一人の少年を介して、愛と芋生悠演じる美雪は、お互いの心の闇を照らし合い、惹かれあって行く。

一見屈折しているような展開も、二人の孤独を理解すれば必然であり、共感を感じることはできる。そういった意味で好きな映画だった。

 

ただ心配なのは、山田杏奈はこういったちょっと歪んだ役しかもらえなくなっているのではないか、ということ。

若いのにこんなしっかりした役者、そうはいないと思うけど。。。。

芋生悠とともに、将来期待してるのでもっと色んな作品で主役を張ってほしい。

 

この二人は今後の活躍を応援したい。