MATTの中では、佐藤健は正統派のイケメンです。

 

「星とレモンの部屋」を観た後にこの映画は、かなりヘビーだった。

生活保護受給者とその制度設計に焦点を当てたドラマ。

 

15年ぶりにアメリカで暮らしてみて、生活レベルの日本との格差に心底驚いた1年半だった。

マクドナルドの時給が$15(今のレートで約2000円)。

ウォルマートのトラックドライバーの年収は最低でも1000万円。

そんな高給が保証されているのに、求人しても人が集まらない。

みんな何をして生計を立てているのか。

トランプ政権下では、コロナ対策として生活保護支給があり、かなりの金額をもらえたため余計に働かなくなったのではと言われている。

 

正直この現実は日本人にとっては衝撃だ。

労働力の質、サービスの質、どこを比較しても日本人労働者の質は海外のそれと比べて劣ることはなく、むしろ勝っている。

なのに、日本では労働者の賃金は低いままだ。

(かみさんはラーメン屋で10年以上パートをしていて、いまだに時給は900円だ)

 

生活に困窮したらアメリカ人はすぐに政府の援助に飛びつく。

こんなんじゃ生活できない、もっとよこせという。

一方、日本では劇中でも描かれたように、特に高齢者を中心に「世間に申し訳ない、自分で何とかする」と受給を拒むという。

 

こんな勤勉で奥ゆかしい国民が貧困に耐え、それが当たり前のようになっている国。

外に出てあらためてその歪みに気づき、愕然としてしまう。。。。

 

倍賞美津子演じる高齢女性が、このドラマが提示するテーマのすべてを体現している。

つつましく、愛情にあふれ、生きる努力を怠らない。

しかし、そういった人々に手を差し伸べるはずの生活保護制度がまったく機能していない現実。高い税金を払っているが、何に使われているのか?

 

佐藤健。

色々な映画、ドラマで彼の演技を見ているが、心に傷を負った弱い人間を演じることができる彼はきっといい役者なのだろう。

 

清原果那は初めてじっくり演技を観たが、目力の強さが若手女優の中でもぴか一だ。

難しい役どころだったが、きっちりと役を作ることができるところ、さすがだ。

 

林遣都は、たまやんいわく「最近阿部ちゃん路線になってきた?」というが、「初恋の悪魔」を見ているとそんな風にも見える。

今回、その阿部ちゃんとの共演だったが、とがった役から優しいちょっとだらしない役まで幅広くできていい。

 

監督の瀬々敬久は映画「64‐ロクヨン‐」「とんび」の監督。

過去と現在をうまくつなぎ合わせて見せる手法や、異なる視点からの正義を見せて考えさせるなど、なかなか実力派の監督さんと思う。

経歴見るとピンク映画を長く撮っていたようで、そういう監督さんの多くは映画の基礎ができているので、安定感があるのだろうか。

 

清原果那は、憂いを持った目と口の表現力が素晴らしい。

まだ20歳、、、、しっかりしすぎていて怖い。