事前に想像していた内容と違ったドラマだった。
サムネイルとタイトルからファンタジーっぽいイメージがあったのだが、
ふたを開けてみると、ズドーンと重たい。
ヒッキーの日に観るのには、ちとつらい。。。。
いわゆる引きこもりの主人公が、自らの意思(とはいっても色々と外的な力を借りることにはなる)で一歩を踏み出すという物語。
たった50分弱のドラマだが、コンパクトにメッセージがまとめられている。
夏帆は表現力豊かな女優さんなので、こういう役にはぴったりかもしれない。
30代になってより一層女優としての魅力と実力が備わってきた感がある。
原田美枝子は変わらず美しい。
彼女はやはり「北の国から」での涼子先生の印象がいまだ強い。
なんというか、独特の魅力があった。
彼女の娘が石橋静河とは知らなかったが。
ちょっと途中でグロい展開があるものの、ラストまで夏帆と原田美枝子の熱演で飽きることはない。
ドラマ冒頭で母親が急死してしまうが、夏帆演じるいち子は、人恐怖症で人と接することができないため、救急に電話しても上手く話せない。
終盤、そんな夏帆に死んだ母親(の幻影)が、窓を割って部屋で待っていれば警察でもだれでも助けに来てくれる、というアドバイスを贈る。
そしてその通りにするいち子。
普通の生活を送るものからすると、一見とんでもないことに見えるかもしれない。
結局自分で何もできないことに変わりないのでは、と。
しかし、ひきこもりになった人たちは、このちょっとしたきっかけを作れずに永遠に閉じこもってしまうのだろう。物理的にも精神的にも。
どんな形でも手段でもよい、とにかく一歩を踏み出し外界とつながることが大事であり、他人に助けを求めることができる、というのは大きな一歩なのだ。
ラストシーン、夏帆はつぶやく。
「思ったより外の空気はよくない」
すぐにはなじめないのだが、それでもいい。
少しずつ、外の世界へと踏み出していくことが希望につながる。
2015年の調査では全国にひきこもりの人は100万人以上というデータが。
政令指定都市並みの人数ということに驚いた。
ひきこもりは、もはやマイノリティではない。
原田美枝子。歳を重ねても美しい。