北野武作品は、一度しっかり腰を据えて見てみたいと思っている。

 

映画は中学生のころから大好きで、人並み以上とは言わないものの好きだ、と言えるくらいの作品は観てきたつもり。

それなりに自分の映画観も持っているが、北野作品は映画好きの玄人や、まさに映画監督からの支持が多い監督だと思う。

 

それだけ玄人受けする作品を撮っているということだろうか。

とにかく映画が好きなんだな、愛があるなと思うのだ。

 

振り返ると、おそらく観たことあるのは「その男、凶暴につき」「アウトレイジ3部作」くらいしかないだろうか。

そこで今回UNBLOCKでupされいていたこの作品を観た。

 

北野映画を観るのは楽しい。

カット割りやカメラアングルがとてもユニークだからだ。

どうしてこのシーンはこのアングルから撮っているのだろう、このカットの意味は?

どうしてこのシーンはこんなに止め絵的に長いのか、、、、

とか、一つ一つの意味を問いかけながら見てみる。

それが面白い。

 

それから、「バイオレンス」は北野映画には欠かせない普遍的テーマだが、そこはコメディアン、必ず馬鹿げた笑いもそこかしこにちりばめられている。

北野武の「人生しょせんはジョークみたいなもんだろ」というメッセージなのだと受け止めた。

これも北野映画共通のテーマのように思える。

 

でも北野映画の一番の魅力はヨーロッパ映画のような抒情的な風景の美しさではないだろうか。その点、この「HANA-BI」はある種絵画的美しさも備えた映画と言える。

 

タイトルにある通り、劇中に花火のシーンが出てくる。

一瞬のきらめきとその美しさが花火が花火たるゆえんであるが、武演じる西と、その妻の輝かしくもささやかな幸せの時間もまた一瞬で終わった。

ラストシーンの静かな青い海が心に突き刺さる作品である。

 

妻役の岸本加世子は当時37歳。もっと若く見えるけど、あらためて今見て可愛い女優さんだなと思った。