いかん、、、、

WOWOWのドラマ版の感想を書いていなかったようだ。

 

これまで恋愛ものが多かった有村架純が、初めて恋愛ものではない、職を持った大人の女性を演じたドラマ。

今年の冬に「前科者」のドラマを観て新たなチャレンジに踏み切った有村架純に、とても感動したものだった。

 

地味な服装にナチュラルメイク、めがね。

可愛くて演技の上手い女優で終わってほしくない、そんなファンに応えるかのように新しい有村架純を見せてくれた。

それは「いりびと 異邦人」で、同じく新しい側面をみせてくれた高畑充希の時の感動と同じだった。

 

物語は保護司という、このドラマを観るまではその存在すら気にしたことがなかった職業。

職業といっても国家公務員でありながら無報酬。すなわちボランティアなのだ。

 

ドラマ版では3つのお話を、それぞれ石橋静河、大東駿介、古川琴音が熱演し、それに負けない演技で有村架純の魅力が光る。

特に映画版でも共演した石橋静河は、このストーリーに無くてはならない存在になっている。

 

映画版はそのドラマの延長で、有村架純演じる阿川佳代が保護司になるまでの経緯が更に詳しく描かれる。

 

森田剛(とてもよかった)の更生のサポートをする過程で、事件が起きドラマ版とは違った犯罪ミステリーの様相を呈した展開になる。

何人も人が死んでいくので、はて、ドラマ版とかなり趣が違うぞと途中心配した。

安易に有村架純が凶弾に倒れるとかはやめてほしい、と思っていたが監督はじめスタッフはきちんと世界観を守ってくれたよう。

 

ラストの30分は本当に見ごたえある展開に。

この30分に、このドラマが伝えたい本質がある気がした。

 

一応、犯罪学を学んだ身なのでこのドラマの提示するテーマは、話を追いかけながらもどこか自問自答している自分がいた。

 

生まれながらの犯罪者はいないと信じたい。

しかし、一度犯罪を犯すと世間からの目は180度変わる。

人間、誰しも犯罪を犯す可能性があるにも関わらず、過ちを犯した者はその瞬間にそうでない者と明確に区別され、決して許されることはないのだ。

 

だが、そんな人たちを暖かく見守ろうとする人たちも存在する。

その希望の象徴が保護司であり、それを原作の漫画、ドラマで描くことで少しでも犯罪者とは何なのか、を考えるきっかけになればと思う。

 

犯罪にはいろいろな種類がある。

絶対に許せない犯罪もあるだろう。

でも、すべてひっくるめて「犯罪」「犯罪者」とくくってしまうのはどうだろうか。

自分たちと同じ人間が犯した罪だ。自分もそうなるかもしれない。

そして犯罪者を理解することは、被害者のことも本当の意味で理解することになるのだと思う。

 

話を映画に戻して、、、

 

有村演じる阿川佳代は、劇中で石橋静河演じるみどりに「弱い人間」と評される。

弱い人間だからこそ、人の気持ちがわかる。

決して上から目線ではなく、本当の意味で寄り添うことができる存在。

でも決してただ弱いだけではない。

弱さが強さになる、そういうこともある。それが人間なのだ。