MATTの就活はほぼ30年前。

携帯なし、インターネットなし、エントリーシートなし。

内定通知は電話。大体夜に電話がかかってくるので家で待つしかない。

電話の無い時はご縁が無かったということで。。。。笑

情報は大学か、先輩か友人からもらうか、就職情報誌を見るかしかない。

「●●企業 ブラック」という検索ができる今がうらやましい?

 

それはさておきこの映画、佐藤健が非常に地味。

短髪でメイクも薄く、ボソボソしゃべる佐藤健は信じられないほど普通だ。

 

有村架純、菅田将暉、二階堂ふみ、山田孝之、岡田将生。

こんな豪華なメンバーをそろえたら、多少話がつまらなくても十分楽しめるだろう。

いや、この映画自体は話も面白く、最後まで見ごたえあった。

 

今を生きる若者の就活の苦悩、生きていくその手段と意味への疑問が色濃く描かれる。

だが、それらはMATTの頃もそれより以前も本質的には変わらないのだろう。

現代では、そこにインターネットという仮想社会が人生に密接に結びついており、その情報に翻弄されてしまうという苦しさがある。

見なくてもいい、知らなくてもいい情報に惑わされ、悩まされ、自分を見失っていくことの怖さ。

 

さして大きな事件も出来事もなく進んでいくが、ラスト20分頃に物語が動く。

理香(二階堂ふみ)が、拓人(佐藤健)の裏アカを見つけ、切り出すシーンだ。

ここからラスト、拓人が瑞月(有村架純)から、ずっと拓人の舞台が好きだったと伝えられるシーンがとてもよい。

 

誰もが「何者」かになりたいと思い、人とは違う自分が何かを探し続ける。

だけど所詮は自分の考えや世界観の中でしかそれを実現できない。

そしてそれを他者に伝える時に、より自分をよく見せよう、よく理解してもらおうと、どんどん本当の自分の姿からはかけ離れていってしまう。

 

そんな拓人に理香の言葉が突き刺さり、そして瑞月の言葉に救われる。

誰かに認めてほしいと言っている間は、自分が見えない。

自分の知らないところで、誰かが自分を見てくれている。

 

物語の最後に拓人は面接で1分間の自己PRを求められ、演劇仲間だった銀次との話を語りだすが、1分では語り尽くせないと言いPRを終える。

本当の自分の言葉で自分の気持ちを伝えようと思った拓人。

1分では語れない、と言った彼の言葉は彼の本当の気持ちであり自分の言葉だった。

 

二階堂ふみと有村架純

実力派女優二人の共演だったが、劇中ではまったくと言っていいどほ絡みは無し。

ただ、物語のキーとなるシーンでこの二人が生きる演出と脚本に感謝。

 

最後に、クレジットを見ていたら土村芳の名前を見つけた。

え~?どこに出てたのよ、、、、と探してみる。

wikiでも役名の無い役のようなので、おそらくどっかに一瞬出てるだけなのだろうと見ていくと、終盤の拓人の回想シーン、銀次の舞台で劇団の俳優の一人として出ていたのを発見。

セリフはないが、結構アップで十数秒出ていたのに全然わからんかった。。。

さすが当代きってのカメレオン女優、土村芳だ 笑